金曜に幸福感の高まる人が多い意外な事実の根拠 妄想であっても期待することで心は前向きになる

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夏休みの期間中で最も幸福感が高まるのも、何をしようか(あるいはしなくていいか)ワクワクしている最初の日であることが判明しています。その後、幸福感は徐々に下降していきます。

これらの研究結果から導かれるのは、「プラスの妄想は幸福感を向上させる」ということ。幸福研究者として、まだ何もしていないうちから期待を膨らませる「取らぬ狸の皮算用」には大きな効果があると断言できます。そうやって想像しているときに、幸福感は高まり、心は確実に前向きになるのです。

「いい想像」の条件

ここでのキーワードは、「ポジティブに」、そして「頻繁に」です。前向きな想像を頻繁にするほど幸福感が高まりやすいことがわかっています。これは、研究者が「心的時間旅行(mental time travel)」と呼ぶ、頭の中で自分の期待する未来の場面へと旅をして体験する行動です。

心的時間旅行は、脳科学的に効果が確認されたメンタル向上法です。脳内のシナプスやニューロン(神経)が想像に反応し、その人の実際の体験を蓄積するのと同じように空想が脳に蓄積されていきます。つまり、実際に起こった出来事と、まだ起きていない出来事の記憶を、脳は両方「事実」として覚えるのです。

実際の体験と脳内だけの体験、どちらもその背後では同じプロセスが働いています。それが表れる例が「裁判」です。裁判での目撃証人が本当に見たままを証言しているのか、それとも事件について後から見聞きして真実だと思い込んだことを述べているのか、判断が難しいケースがあります。どちらも同じように「真実」として記憶されているので、客観的にどちらが事実か判断しにくいのです。

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