宅配ボックスで露呈 ゆうパックの役所体質


 「包括的な契約」とは、荷受人の在宅・不在を問わず、とにかく指定場所に届けることだそうで、「契約書はない。相対での口約束。現場の裁量に任せている」(宮澤部長)。これを「契約」と呼ぶならば、そもそも「依頼書」は不要なはずだが。

日本郵便は「機械式の宅配ボックスも依頼書の提出を求めないように」との内部通達を9月1日に全国に発令した。「機械式」とは宅配業者が暗証番号を入力して、暗証番号を書いた紙を郵便受けに入れる仕組みの宅配ボックスだ。

「かつては盗難が相次いだが、現在では機械式での宅配ボックス荒らしの件数が減ったことから、利便性の向上に踏み切った」と宮澤部長は胸を張るが、裏を返せば、「依頼書」は荷受人である客の利便性を犠牲にしていたことになる。しかも、すでに不要になったはずの電子式でいまだに依頼書の提出を求めている実態を本社が把握していない以上、9月1日以降も本社の通達を現場に徹底させられるのかどうかが疑わしい。

“民間”以上の利便性向上を実現しなければ、ゆうパックに明るい未来はないが、染み付いた役所体質からの脱却は容易ではなさそうだ。

(山田雄一郎 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年9月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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