日比谷線の新駅はなぜ虎ノ門に作られるのか 東京都がブチ上げた「長期ビジョン」の目玉

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虎ノ門ヒルズの上層階から湾岸方面を望む(撮影:尾形文繁)

虎ノ門から湾岸エリアにあるオリンピックの競技会場へはバスによる移動が想定されており、BRT(バス高速輸送システム)となる可能性が高い。これはバス専用・優先レーンの設置や、交通信号とバス運行の連動により、目的地までバスを渋滞なしに走行させるシステムだ。

「都心と臨海副都心とを結ぶ公共交通に関する基本方針」の中で、環状2号線にBRTを前提とした交通システムを作ることが謳われており、その終点として新橋駅や虎ノ門地区の名前が挙がっている。

また、「開通前の道路であれば、BRTを前提とした信号システムを作りやすい」との声もあり、新橋―豊洲間にそうしたシステムが事前に導入される可能性は高い。

東京都の舛添要一知事は9月17日の都議会の所信表明演説で、「BRTを想定した中規模の新たな公共交通の整備やバス路線の新規開設にも取り組むほか、環状2号線が通る虎ノ門エリアへの日比谷線の新駅設置など都市再生と連動した取り組みを進めていく」と述べている。

オリンピック会場と都心とを結ぶ交通手段については、さまざまな検討がなされている。東京メトロは有楽町線・豊洲駅の大改良工事を進めており、折り返し線を設置し、都心への輸送力を図る予定だ。こうした中にあって、環状2号線BRTや日比谷線新駅は有力なアクセス手段の1つになると期待される。

新駅設置にはハードルも多い

新駅については、東京メトロと東京都などが協議を進めながら着工・完成を目指すことになるが、簡単に建設できるわけではない。地下鉄が営業中で、工事は夜間が中心となるなど制約は多い。

東京メトロは過去、1996年に丸ノ内線の西新宿駅、97年に銀座線の溜池山王駅といった途中駅を新設しているが、いずれも着工から4~5年を要している。着工までの手続きに手間取れば、オリンピックに間に合わない可能性がある。また、建設費の総額や財源などについても、現時点では不透明な点が多い。

そうした課題を乗り越え、虎ノ門地区が「オリンピックの玄関口」になるか。それはひとえに、関係者の今後の積極的な取り組みにかかっている。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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