ソニーが残すべきだった、あのブランド 新興国で負け続けるのは、なぜなのか

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その一方で、2015年度の連結営業利益4000億円の計画については、「力強いソニーの復活に向けて、変えることなく取り組んでいく」(平井社長)。2015年度以降の成長戦略に強い意志を見せる。

主要な不動産売却がほぼ終了したなかで、営業利益4000億円の達成は、本業による利益獲得が求められている。

まさに、2014年度にどんなに赤字を出してでも、構造改革をやりきらない限り、平井社長が描いた中期計画は、一度も達成しないまま宙に浮くことになりかねない。

新興国に弱いソニー

そして、もうひとつ明らかになったことがある。ソニーが新興国におけるビジネスにおいて、持続可能なビジネスモデルを構築できないという点だ。

ソニーは、第1四半期(4~6月)決算において、スマホ事業の売上高が前年同期比10.1%増の3143億円、営業損失が153億円減の27億円の赤字となり、同事業の通期営業利益見通しを260億円減のブレイクイーブンに下方修正。さらに、スマホの年間出荷計画も、年初の5000万台から、4300万台へと下方修正した。

10月から11月に予定されている上期連結業績発表、あるいは事業方針説明の場で、スマホ事業の新たな通期見通しや同事業の新中期経営計画について明らかになるだろうが、ここでのポイントは、平井社長が言及したように、「従来の売上高の大幅な拡大を目指し、将来的に大きな収益をあげる計画から、事業リスクや収益変動性を低下させ、より安定的に収益計上が見込める戦略変更」を軸としたものになる点だ。

具体的には、「地域展開においては、高い収益性が期待できる国や地域に経営資源を投下し、競合環境の観点から、収益性や成長性が乏しい一部の国や地域の戦略を見直すとともに、商品戦略ではソニーの技術を詰め込み、高い付加価値が提供できる商品ラインアップに集中。競争環境の激化により採算性の厳しい普及価格帯モデルを絞り込むことで収益性の改善を図る」という内容だ。

この背景にあるのは、新興国でのスマホ事業の失敗だ。平井社長は、「中国スマホメーカーの躍進などにより競争環境が大きく変化。普及価格帯の製品の売れ行きにおいて、当社の見通しとは大きく違ってしまったのが原因」とする。

だが、振り返ってみれば、ソニーは、新興国で成功した試しがない。PC事業の売却も、テレビ事業の失速も、もとはといえば新興国での失敗が原因である。

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