映画以外に写真や雑誌も将来は3D化されるはず--ドリームワークス・アニメーションCEO/映画プロデューサー ジェフリー・カッツェンバーグ

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--それはどんな努力ですか。

たとえば上司から「コーヒーを買ってこい」と命じられたとする。普通なら買って戻ってくるまでに15分かかるところを10分で戻る。単に走るというだけじゃなくて、その方法を一生懸命考える。そういうことの積み重ねだ。

--長期的な野心はありましたか。将来は社長になりたいとか。

それはなかった。目の前の仕事を面白いと思ってこなしていただけだ。私は大学で映画を専攻したわけではないので、アカデミックなバックグラウンドがない。それに若い頃の私は政治活動をやっていたので、映画業界で本格的に仕事をするようになるとは思ってもいなかった。今の私があるのはハッピーな偶然だ。

■映画館で観客の姿を見るこれが名作を生む秘訣だ

--歴史に残るような名作を次々と生み出す秘訣は?

そんな秘密があったら、ボトルに入れて売り出すよ。さぞかし売れるだろうね(笑)。私は映画について考えるのが大好き。そして映画館で私の作った映画を楽しんでくれている観客の姿を見るのが最大の喜びだ。もし秘訣があるとしたら、ここにあるんじゃないかな。

--最後に、日本の「宮崎アニメ」は、世界では批評家には絶賛されても、日本国内ほどの大ヒットにはなりません。なぜでしょうか。

ミステリーだね。宮崎駿氏は現代におけるウォルト・ディズニーと言える。彼の絵は本当に美しい。娯楽性も芸術性も兼ね備えている。なぜ世界中で大ヒットしないのか、不思議で仕方がない。でも、われわれの映画だって世界中で高い評価を受けて大ヒットしているのに、なぜ日本では宮崎アニメほどヒットしないのだろう。これも不思議な話だ。

Jeffrey Katzenberg
1950年生まれ。エージェント業などを経て75年パラマウントスタジオ入社。84年ウォルト・ディズニー・カンパニーに転じる。94年にスティーブン・スピルバーグ、デヴィッド・ゲフィンとともに映画会社ドリームワークスを設立。2004年アニメ部門を分社化してドリームワークスアニメーションを設立、現職。


(聞き手:大坂直樹 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年8月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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