「2021年売れた芸人」に共通するただ1つの共通点 人々は芸よりもパーソナリティを求めている
今年もそろそろ終わりを迎えようとしている。出口の見えないコロナ禍が続いていて世の中のムードは決して明るくはないが、お笑い界は2021年も好況が続いていて、多くの芸人が活躍していた。
テレビ業界でも高齢者層を除いた「コア視聴率」が重視されるようになり、若い世代をターゲットにしたお笑い番組も増加した。地上波以外のメディアでも、芸人が出るバラエティ系の番組やコンテンツがますます充実してきた。
順調に仕事を増やす「M-1」組
今年のブレーク芸人として真っ先に浮かぶのは、昨年末の『M-1グランプリ』で決勝に残っていた面々だ。特に、優勝したマヂカルラブリーと準優勝のおいでやすこがの勢いはすさまじいものがあり、テレビで見ない日はないほどの活躍ぶりだった。3位の見取り図や5位のニューヨークも順調に仕事を増やしている。
彼らに共通するのは、芸人としての総合的な能力が高く、どんな企画にも対応できる器用さがあることだ。お笑い番組や、お笑い要素のある番組が増えている今の時代には、こういうタイプの人材が求められている。
一方、ピン芸人で今年大ブレークを果たしたのが、ヒコロヒーともう中学生の2人である。ヒコロヒーは、やさぐれたクールな雰囲気をまとった女性芸人。4月には日向坂46の齊藤京子との冠番組『キョコロヒー』(テレビ朝日)が始まり、12月には『女芸人No.1決定戦 THE W 2021』で決勝進出を果たした。
ヒコロヒーは、『M-1』や『R-1グランプリ』などの賞レースで決勝に進んだわけでもなく、一発ギャグや特技があるわけでもない。そのようなはっきりしたきっかけがないにもかかわらず、じわじわと仕事を増やしていき、ネタ番組、トーク番組、ドラマなど、幅広いジャンルの番組に出演するようになった。
それ以外にも、エッセイを執筆したり、描き下ろしアートをデザインしたファッションブランドとのコラボ商品がリリースされたり、独自のセンスを生かして多方面で活躍している。
ヒコロヒーは、お笑い好きの間ではもともとネタの面白さに定評のある芸人だった。彼女が作るネタには、偏見や皮肉っぽいものの見方が垣間見えるものが多い。彼女の中には明確な価値基準があり、あらゆる表現がそれを軸にして展開される。
だからこそ、ヒコロヒーの芸には揺るぎない一貫性があり、どんな分野の仕事をしていても見せる顔が変わらない。最近テレビに出始めた芸人であるにもかかわらず、妙に落ち着いて堂々としているように見えるのもそのためだ。
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