悩ましい誰にどちらの新コロナ薬を投与するか 評価がより高いファイザー製は数量が不足

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米食品医薬品局(FDA)は今週、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の2つの経口薬(飲み薬)に緊急使用許可を出した。米国でのコロナ飲み薬の許可は初めて。次のハードルは誰に対しどちらを投与するかを判断することだ。

メルクのコロナ経口薬にFDA使用許可-妊娠中は控えるよう警告 (1)

米メルクのモルヌピラビルは23日に使用許可を得た。他に治療選択肢のない、重症化リスクの高い成人患者に対する使用が認められたが、妊娠中の女性は服用を控えるよう勧告された。米国は近く300万回の治療に相当する量を入手できる。

一方、22日に使用許可を受けたファイザーの「パクスロビド」は臨床データがより力強く、バイデン大統領は「有望な新しい治療法」だと称賛した。ただ、製造に数カ月を要するため当面は限られた量しか入手できない。

ファイザーのコロナ経口薬、FDAが高リスク患者に緊急使用許可 

当局者は評価がより高いファイザー製を選好する姿勢を示唆しているが、何もないよりは望ましいと指摘するメルク製の方を多く確保する予定だ。今後数週間には、州当局や医師が誰に何を投与するかについて議論することになる。

米政府によると、米国はメルク製を直ちに数十万回分、1月末までに300万回分と、発注分のほぼ全てを確保する。一方、ファイザー製は1月末までにわずか26万5000回分、春までに月間最大200万回分、7月までに計1000万回分を入手する。初期の出荷は6万5000回分にとどまり、ニューヨーク州では約3180回分だ。

バイデン大統領は今週、ABCニュースとのインタビューで、ファイザー製の供給は当初、「全ての医療機関に行き渡るほどではないだろう」とする一方、政府はファイザーが生産可能な全量をこれまでに発注していると語った。

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