フランス大統領選挙、候補者たちの熾烈な争い 3つのシナリオとそれぞれがはらむ問題を分析
そのゼムール氏も陣営内の問題が相次いで発覚し、一時の勢いはない。代わりに急速に支持を伸ばしているのが共和党のぺクレス氏だ。ぺクレス氏の支持は当初10%前後で低迷していたが、有力候補を破って共和党の予備選を制した後は、一躍、ポスト・マクロンの最有力候補に躍り出た。
マクロン大統領にとって、政策が似通うぺクレス氏は攻撃材料に乏しく、決選投票の世論調査でも接戦が予想されている。フランスでも新型コロナウイルスの感染が再拡大しており、1日当たりの新規感染者が過去のピーク時を上回っている。今後、一段と感染が広がり、感染予防の強化を余儀なくされる場合、政権批判が広がる恐れがある。
極右候補1本化、ペクレス猛追ならマクロン敗退も
マクロン大統領にとっては、決選投票の相手がぺクレス氏ではなく、ルペン氏やゼムール氏となる場合も侮れない。大統領就任後、マクロン氏の強引な改革手法や国家運営に反発する国民も少なくなく、政治刷新と変革を掲げて勝利した前回と比べて反マクロンの逆風が吹いている。特にゼムール氏は共和党支持層の一部を取り込む素地を持っており、決選投票に進出した場合、世論調査が示唆する以上の支持を集める可能性がある。
また、ルペン氏とゼムール氏のいずれかが出馬を取り止める場合、残る極右候補が初回投票を首位で突破する公算が大きい。ぺクレス氏は最近の世論調査で、右派票のみならず中道票や左派票の一部も取り込んでいる。今のところ可能性は低いが、極右候補の一本化とぺクレス候補がマクロン大統領を逆転する事態が重なれば、マクロン大統領が初回投票で敗退する恐れすらある。
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