2階建て新幹線や多扉車消滅、「世代交代」の2021年 利用回復は進まず、新たに車内の防犯が課題に

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2021年は、一時代を築いた車両の引退や列車の廃止など、時代の移り変わりを感じさせる出来事も多かった。

象徴的なのは「2階建て新幹線」の退場だ。上越新幹線で運行していたオール2階建てのE4系が10月1日に定期運行を終え、1985年に東海道・山陽新幹線の100系に初めて連結されて以来続いてきた新幹線2階建て車両の歴史が幕を閉じた。

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3月のダイヤ改正では、国鉄末期の1986年に運行が始まったJR東海道線の「湘南ライナー」が廃止されて新設の特急に置き換わり、一時はJR各線を走っていた「ホームライナー」と呼ばれる着席通勤列車が首都圏から消えた。同時に、国鉄時代から約40年にわたって特急「踊り子」などに使われた185系特急型電車が定期運行から撤退。同ダイヤ改正ではほかにもJR九州のキハ66・67形が引退、かつて全国で活躍したディーゼル機関車DD51形もJR貨物の定期運行から撤退し、国鉄時代の車両は急速に姿を消している。

私鉄では「多扉車」の元祖、京阪電鉄5000系が9月に引退した。ラッシュ時の乗降をスムーズにするため片側に5つの扉を設けた車両で、ホームドアの整備に伴い半世紀の活躍を終えた。同車の引退で、ラッシュ対策として山手線をはじめ都市部の路線で一時期導入が相次いだ多扉車は国内からすべて姿を消した。

DMVが運転開始

近年深刻化している自然災害は、2021年も鉄道に被害をもたらした。8月の豪雨で鉄橋が被災したアルピコ交通上高地線(長野県)は現在も一部区間の不通が続く。

2019年10月の台風で鉄橋が被災した上田電鉄別所線は2021年3月27日に全線で運転を再開した(記者撮影)

一方で、復活を遂げた路線も複数あった。2019年10月の台風19号被害で一部不通だったJR水郡線(茨城県・福島県)と上田電鉄別所線(長野県)は3月下旬に全線の運転を再開。2020年7月の豪雨で一部不通となっていたJR九州の久大本線は2月に由布院―庄内間、3月に豊後森―由布院間が再開し、叡山電鉄鞍馬線(京都府)は9月に全線が復旧した。同豪雨で被災し、全線運休していたくま川鉄道(熊本県)も11月に一部運転を再開した。他方、2015年の高波被害で運休が続いていたJR北海道の日高本線・鵡川―様似間は4月1日をもって廃線となった。

明るい話題に乏しかった2021年だが、最後に前向きなニュースもあった。四国の阿佐海岸鉄道で12月25日、線路と道路の両方を走る「DMV」(デュアル・モード・ビークル)がついに営業運転を開始。新たな交通機関、そして観光資源として注目を集めている。

2020年に突入した長いトンネルの中だったといえる2021年。それでも列車は出口の光を目指して走り続ける。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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