「青天を衝け」脚本家が渋沢栄一に心底ホレた理由 作り上げた「栄一年表」はなんと270ページ!

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大河ドラマ『青天を衝け』脚本家が語る「渋沢栄一」の魅力とは?(写真提供:NHK)
いよいよ12月26日に最終回を迎える大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)。吉沢亮主演で渋沢栄一の波乱に満ちた人生を描き、経済官僚・実業家であった栄一の視点で幕末から明治、大正、昭和に至るまでの日本近代史を巧みに描いた傑作と評価されている。全41回を書き上げた脚本家・大森美香さんに独占インタビューした。

意外なところで養った「経済の素養」

渋沢栄一は現在の埼玉県深谷市に住んでいた豪農の家の子で、幼いころから農業と商売をしながら育った。青年時代は幕末の混乱の中で尊王攘夷思想に熱中するようになり、その後縁あって一橋家に仕え、最後の将軍・徳川慶喜に認められた。

慶喜が将軍になると、その弟・昭武に従いパリ万博使節団として海を渡った。そして、フランスで市場経済の勢いを目の当たりにし、帰国後は明治政府に入り郵便制度や銀行の設立などに尽力した。

第32回からは、政府高官を辞し民間に下った栄一が数々の事業を立ち上げて経済界の中心的存在となっていく様が描かれた。日本に資本主義が導入された時期を舞台に複雑な市場経済の仕組みを紐解きつつ、エキサイティングな人間ドラマを展開した大森さん。もともと、経済についての素養はあったのだろうか。

脚本を担当した大森美香さん(写真提供:NHK)

「実は、脚本の仕事をする前、新卒でテレビ局に入ったときは総務部で経理を担当していました。そこで簿記などを学び、会社のお金の動き方を見て面白いなと思ったんです。

でも、簿記1級を受けたものの落ちてしまって、経理のエキスパートになるのをあきらめたという経緯があります。ですから、栄一さんがフランスから簿記を持って帰ってきたときの史料を読み、ここから日本の経理システムが始まったのかとわくわくしながら勉強しました。

江戸時代までは収支計算も大福帳に書き、あいまいなところがあったのを、日本の銀行や企業もこの先はきちんと一円一銭単位で合わせないと海外と渡り合えないんだとなった瞬間はぜひドラマで見せたいと思いました」

ドラマには栄一をはじめ、関西の商業を振興した五代友厚、一代で三菱財閥を築いた岩崎弥太郎、三井で辣腕を奮った三野村利左衛門といった大物財界人が登場した。「ひとりの天才経営者が財界を牽引すればいい」と決めつける弥太郎と、あくまで「合本主義」を唱える栄一が舌戦を繰り広げる場面も。

「そこは現在と地続きですよね。今の市場でも、弥太郎さん的な思想で会社を経営している人もいるし、栄一さんのような思想でやっている人もいる。ただ現在、栄一さんや弥太郎さんほどのパワフルさをもって日本を引っ張っていく方は存在するのかなと……。中村芝翫さんが弥太郎を熱演してくださって、臨終の瞬間まで日本を大きくしようとしていた弥太郎さんに感激して涙が出てきました。あのときの三菱の力がなかったら、今の産業の発展はないと思います」

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