ロンドン地下鉄大ピンチ、財政難で路線閉鎖も コロナ禍で収入激減、政府救済も期限が迫る
世界最古の歴史を誇る地下鉄や有名な赤い2階建てバスなどを運行するロンドン交通局(Transport for London、TfL)が深刻な財政危機に直面している。
コロナ禍による利用者数の減少で運賃収入の95%を失い、現状の公共交通サービスを維持するのに不足する資金は19億ポンド(約2870億円)に達するという。ついにロンドン市長が「コスト削減のため、地下鉄のいずれかの路線を全線止めることも検討中」とまで言い出した。
大都市ロンドンの動脈である地下鉄路線閉鎖の話まで飛び出した交通局の財政危機。乗り切る策はあるのだろうか。
政府救済はひとまず延長
2021年7月以降の大幅な行動制限緩和を受け、11月末時点の地下鉄乗客数は、コロナ禍以前の65%程度まで回復した。しかし交通局は、「運賃収入は当分これ以上伸びない」と分析している。テレワークの普及で週5回通勤しないオフィスワーカーが増えたことに加え、国外からの観光客が依然として少ないからだ。
交通局は、現状のサービスを維持するためには2021年度中に5億ポンド(約757億円)、さらに2022年度に向けては12億ポンド(約1817億円)以上の確保が必要だ、と交通局は主張している。
イギリス政府による交通局への救済措置である資金調達支援パッケージは2021年6月にスタートしたが、12月11日に終了。その後、関係者間の調整が進んでいないとして、暫定的に17日まで期限が延長された。
本来ならすでに返済を始めなければならない時期に差し掛かっているが、ここへ来て新型コロナの変異株、オミクロン株による感染が拡大。1日当たりの新規感染者数が連日新記録を更新するなど事態が深刻すぎるとして、期限の17日当日まで話し合いが行われた結果、2022年2月4日まで当面の猶予が与えられることになった。
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