五輪争い混戦「フィギュア」プロが見る勝負の境目 ついに開幕した五輪代表最終選考会の見どころ
NHK杯では優勝し日本女子勢で唯一グランプリファイナル出場を決めていた坂本花織選手。私にはまだ彼女は今シーズン、実力を100%出し切った状態ではないのではないかと思います。それくらい「すごいパワーを秘めている」といつも試合を見ていると感じさせられるのです。
彼女の魅力は、なんといってもパワーとスピードがあるスケーティングです。テレビ放映だけでなく、ぜひ、生で試合を観戦いただければ彼女の魅力がより、おわかりになるのではないかと思います。確かなスケーティング技術により迫力のある演技ができ、そのための体力も持ち合わせている、ポテンシャルの高い選手です。
出場予定だったグランプリファイナルは残念ながら中止になってしまいましたが、彼女には全日本選手権で、100%の力を出し切る演技を見せてほしいと思っています。
たった1つのミスが勝敗を大きく左右する
坂本選手、三原選手だけでなく、日本は他国に比べて女子選手の層が非常に厚いと感じます。
GPイタリアで、プログラムの完成度と豊かな表現力で観客を魅了した宮原知子選手。ここしばらく実力を出し切れないこともあったようですが、彼女の演技全体のクオリティや表現力は随一。彼女には全日本選手権で、本来以上の実力を発揮するような演技を期待しています。
GPフランスで3位になった樋口新葉選手は今シーズン、トリプルアクセルを演技に組み込んでおり、ジャンプの高難易度化が進む女子フィギュアスケートにしっかり対応してきています。
ロシアの選手を中心に、トリプルアクセルや4回転ジャンプを組み込むことで大きな加点を得ることがスタンダードになってきている中で、世界と対等に戦うには、やはりそれらの「武器」が必要な状況かもしれません。
また、樋口選手は、ジャンプだけでなく、エッジワークや滑りのクオリティも非常に良いものをもっています。ぜひ、全日本選手権ではジャンプだけでなく滑りという点も注目して見てくださいね。
ここに全員の名前を挙げることはできませんでしたが、他にも多くの有力選手がひしめきあっています。正直にいえば、たった1つのミスでも勝敗を大きく左右するのが日本女子フィギュアスケート。彼女たち全員が実力を出し切ることができたとき、誰が五輪に行けるのか……それも全日本選手権の見どころかもしれません。
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