グローバル・インバランス 歴史からの教訓 バリー・アイケングリーン著/畑瀬真理子・松林洋一訳 ~解決されていない構造問題の原因


 著者は1970年代の日本と現在の中国の共通点に目を向ける。当時の日本は輸出への悪影響を恐れ、経済の実力に比べ相当に割安な円レートに固執した。その結果、完全雇用状況が近づいても、円高回避のために緩和的な金融環境を継続し、不動産価格高騰やインフレ加速を甘受せざるをえなくなった。

評者は、日本の固定レート制からの出口政策は全体として見れば成功したが、もっと早く円高を容認していれば、列島改造政策やオイルショックがもたらした不均衡を多少和らげることは可能だったと見る。いずれにせよ、日本の教訓から、著者は、中国経済の持続的拡大のためにバランスの取れた人民元レート切り上げの必要性を訴える。

中国では不動産価格が高騰し、賃金インフレも目立ってきた。最近、中国政府は人民元レートの弾力運用を再開したが、世界経済の先行きを懸念し人民元の上昇は小幅にとどまる。はたして、バブルやインフレ加速を回避できるだろうか。

Barry Eichengreen
1952年生まれ。米カリフォルニア大学バークレー校ジョージ&ヘレン・パーディ教授。ハーバード大学准教授、IMF上級政策アドバイザーなど経る。国際経済学(特に国際通貨体制)および経済史(特に大恐慌)研究における世界的な権威。

東洋経済新報社 2520円 210ページ

    

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