間違った情報を信じ込む人に決定的に欠ける視点 因果関係と相関関係、原因と結果をわかってない

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「ただの偶然」「別の原因の見落とし」で因果関係と相関関係を見誤るケースを見てきましたが、もう1つ、気をつけるべきポイントがあります。次のシーンを想像してください。

雨が降っていると、傘を差している人をたくさん見かけます。この現象から、「傘が雨の原因になっている」という結論は導けるでしょうか?

もちろんそんなことはありません。雨が原因で人は傘を差します。これが3つ目の混同要因、「原因と結果を逆に見る」パターンです。

③ 「原因」と「結果」が逆

原因と結果の関係は、「雨と傘」のようにいつでもはっきりしているとは限りません。

お金持ちがたくさん株を持っている場合、その人は株を持っているおかげでお金持ちになったのでしょうか? それとも、お金持ちだから株をたくさん買うことができたのでしょうか? どちらの可能性もあります。どちらが原因で、どちらが結果でもおかしくありません。

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また、肥満は健康に良くないとされますが、一方で太っているほうが「標準体重」の人より長生きだという研究結果もあります。「肥満パラドックス」と呼ばれる現象で、脂肪には体を守る何らかの役割があると唱える研究者もいます。

しかし、ある視点が抜けています。「病気になると体重が減る」という見方です。低体重が不健康の原因になっているのではなく、不健康だから低体重なのではないか――この考えのもと、2015年に体重減少を調整した研究が行われた結果、不健康が低体重につながるという因果関係が確認されました。

相関関係があるからといって必ずしも因果関係が証明されるわけではありません。その関係は単なる偶然かもしれないし、何か欠けている要素があるかもしれないし、あるいは原因と結果が逆になっているかもしれません。

因果関係と決めてかかる前に、

・両者のつながりがまったくの「偶然」である可能性は?
・「他の要素」が関係していないか?
・原因と結果が「逆」になっている可能性は?

の3つを意識してほしいと思います。

サンヌ・ブラウ 「De Correspondent」数字特派員

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Sanne Blauw

オランダのニュースサイト・出版社「De Correspondent」の数字特派員。エラスムス・スクール・オブ・エコノミクスとティンベルヘン・インスティテュートで計量経済学の博士号を取得。またオランダ高等研究所で、ジャーナリストが科学研究・教育現場に長期間滞在する「ジャーナリスト・イン・レジデンス」を経験した。初めての著作である本作はオランダでベストセラーになり、数週間にわたってベストセラーリストに掲載された。

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