日経平均が年内3万1000円に上昇しても驚かない

外国人投資家は重大な事実を見逃している

このように、短期的(11~12月)にはなんとか重要イベントを通過しつつあり、米中首脳の対話も今後再開するため、徐々に日本株を取り巻く霧が晴れてきたようだ。

こうした中で、日米ともに企業の1株当たり利益予想である予想EPSが過去最高の水準かつ上方修正されてきたのは心強い。日本は世界の景気敏感株であり、PER(株価収益率)も相対的に割安で魅力的な水準に入ってきた。仮に「よい円安」になれば、自動車関連など一部の輸出産業にはさらにプラスに効くだろう。

短期的な売り材料がなくなった日経平均株価は今後、年初来ザラ場高値である3万0795円を年内に更新する可能性が高い。3万1000円前後を目指すだろう。

来年の見通しは不透明

ただ、年内の株式市場には強気だが、来年の株価見通しについては不透明だ。アメリカのインフレは一時的なのか。原油価格の上昇はいつまで続くのか。同国の長期金利はどこまで上昇するのか。利上げによる景気後退リスクや株価下落はあるのかなど、このあたりを読みきるのは難しく、市場参加者の見方も大きく割れている。

さらに、アメリカと中国との対立はどうなるのか。中国では「共同富裕」の行方(恒大集団の不動産問題など)や来年秋の共産党大会の影響も、しっかりウォッチすべきだろう。

一方、日本の財政政策については「安易な赤字国債発行によるバラマキ(分配)でよいのか」が真剣に問われよう。本気で生産性を向上させないと、ジリ貧の日本の国力がさらに低下して、民間企業も海外企業と戦えなくなる。

岸田首相が長期政権を目指すには、来年夏の参議院選挙に勝つしかないだろうが、日本が持続的に繁栄するためには「パイが縮小している中での分配」ではダメだ。長期的な成長を目指す岸田政権に期待したい。

ひと足早いが、こうした国内外の環境下で来年の日本株式市場について予測すると、割高成長株から割安成長株や割安ディフェンシブ株に物色がシフトするとみている。なぜなら、プロである企業アナリストによる1年先の予想EPS成長率も大幅に鈍化するためだ。

成長株はさらに選別が難しい時代に入るだろう。とはいえ、日本株式はかなり割高なアメリカ株式よりは相対的に有利になるはずだ。不透明な環境の中、業績を伸ばせるか。原材料の値上がりを価格に転嫁できる競争力のある企業に注目したい。

最後に大事なメッセージをお伝えしたい。以前から申し上げているが、割高になっているアメリカ株や日本株などのリスク資産にかなりシフトしている投資家なら、キャッシュ比率を高めるなど、ポートフォリオを分散して、しっかり資産保全するタイミングが近づいている。個人的には、株価が一段と上昇するであろう年内の12月中旬からクリスマス前後が、そのタイミングではないかと考えている。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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