鉄道業界に衝撃、小田急「小児IC運賃50円」の勝算

2022年春に全線で適用、東急や他社はどう動く?

50円という運賃設定は、小児の初乗り運賃が63円なので、「初乗り運賃よりも安くてキリのいい金額」ということから決まったという。

小田急はICカード小児運賃の引き下げで「子育てしやすい沿線」イメージの定着を狙う(編集部撮影)

通常なら小児運賃が319円の新宿―片瀬江ノ島間、141円の新宿―読売ランド間も50円。これまでよりも割安に鉄道移動ができるとなれば、小学生の子供がいる家庭にとっては朗報だ。むろん、小田急の狙いもそこにある。「小田急線を子育てしやすい沿線にしたい。ぜひ親子でおでかけしてほしい」と、小田急の担当者が意気込む。

この取り組みによって子育てしやすい沿線というイメージが定着すれば、今後、ファミリー層が住まい選びの際に小田急沿線を選ぶ動きが増える可能性もある。長い目で見れば、それは鉄道、流通といったグループ経営基盤の安定化につながる。

収入への影響はごくわずか

とはいえ、コロナ禍で鉄道会社の経営はどこも青息吐息。こんな時期に値下げして小田急の経営には影響がないのだろうか。

同社によれば、鉄道運輸収入に占める小児運賃の割合はおよそ0.7%だという。コロナ禍の影響を受けない2018年度における同社の旅客運輸収入は1195億円だったので、小児運賃は8〜9億円といったところだ。それを50円に引き下げることで年間約2.5億円の減収になると同社は見ている。旅客運輸収入への影響は0.2%程度と些細であり、この程度の金額なら、いっそのこと沿線PRのための宣伝費用だと割り切ってもよい。

もっとも小田急側は、年間2.5億円の減収をさらに減らせる可能性があるという。なぜか。

小田急は通常1日1000円の子供用全線フリー乗車券を100円で販売するイベントを2019年、2020年に実施している。このとき行ったアンケート調査によって、子供1人に対して少なくとも大人1人が小田急線を利用し、7割弱の人がフリー切符を100円にしたことがきっかけで外出したということがわかった。

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