事故が増加する電動キックボードの新たな活路 アウトドアを通して別視点から楽しさを提案

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実証実験の実施エリア(SWALLOW)

さらにスワローでは、2021年7月12日より、福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールドで、ゼロ9を使った電動キックボードの公道における実証実験も実施。これは、産業競争力強化法に基づく「新事業特例制度」の適用を受けたもので、一定区域内に限りヘルメット着用が任意になったり、車道以外の自転車道などの走行も認められたりする。

この手の実証実験は、従来、シェアリングサービス事業者が東京や大阪、横浜や福岡など、都市部で行うケースが多かった。電動キックボード販売会社が地方で行うというケースは稀だ。ちなみに福島ロボットテストフィールドとは、陸・海・空で活用するフィールドロボットの開発実証拠点。東西約1000m、南北約500mの広大な敷地内には、さまざまな企業が実験施設などを使い、ロボットの開発や性能評価を行っている。

今回の電動キックボード実証実験では、主に福島ロボットテストフィールド入居企業の社員が近隣への移動、例えばちょっとした買い物などに電動キックボードを利用するというものだ。施設から最寄りのコンビニなどまでは距離があり、飲み物を買いに行くといった簡単な用事でも、今までは自動車で移動するしかなかったという。そこで、電動キックボードを使った近距離移動が、安全で手軽にできるかなどを検証する。

現行法の内容と実証実験の内容を比較した表(SWALLOW)

実証実験では、速度を最高15km/hに制限する一方、ヘルメットの着用が任意となる(免許の帯同、自賠責保険の加入は必須)。さらに車道のほか、自転車道と一方通行だが自転車が双方向通行可とされている車道の走行も可能となる。ただし、規制が緩和されるのは、定められた実証実験エリアに限られ、特例措置の認定を受けた新事業活動計画のもと実施される実証実験にのみ適用される。つまり、エリア外や認定を受けていない事業者や個人所有の電動キックボードの走行に関しては、原付バイクなどと同じで、ヘルメット装着や車道を走行しないと違法となる。なお、今回の実証実験では、電動キックボードの貸し出しは無料だ。

都市部とアウトドアシーン、両方から安全な利用を促進

以上のように同社は、都市部に加えアウトドアなどでも利用可能なことのアピール、公道走行時の正しい乗り方を啓蒙するなどで、電動キックボードをもっと一般的で、身近な乗り物にする活動に取り組んでいる。また、実証実験により、「電動キックボードが便利な乗り物として社会実装されるための、方策検討や議論のきっかけしたい」(金氏)という。同社のこうした活動が、町で暴走する「悪者」の印象が強くなった電動キックボードのイメージアップや、さらなる需要拡大に繫がるのかが注目されるところだ。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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