ANA、訪日客獲得へ新会社がテイクオフ H.I.Sと国内旅行商品の合弁設立へ
「気合いの入れようが違う」。9月1日、都内で会見したANAセールスの白水政治社長はこう強調した。それだけ、ANAはH.I.Sと踏み込んだ関係を築こうとしているわけだ。
新会社が扱う旅行商品は58カ国、177拠点を持つH.I.Sの海外ネットワークを生かして販売する。ホテルや各種の観光素材を組み合わせた「ある程度、自由度のあるパッケージツアー型」(深木氏)になるが、ANAにとって最大のポイントはANA国内線の航空券を組み込むことだ。
航空・旅行アナリストで帝京大学非常勤講師の鳥海高太朗氏は、新会社が企画・造成する旅行商品では、海外から日本に来る際の航空会社をANAだけに限らず、ほかのフルサービスキャリアやLCC(格安航空会社)、場合によってはクルーズ船でもよい設計とした点に着目する。
「H.I.Sは日本の旅行会社の中では、海外の店舗型販売で圧倒的に強い。現地の人の利用が急速に増えており、ネット販売も含めて、ANAグループではアプローチできない海外の客にANA国内線の航空券を販売できるようになる」(鳥海氏)
国内需要の穴埋めを期待
ANAは51都市115路線と国内線で日本最大のネットワークを持つ。が、人口減や少子高齢化などにより、日本国内の航空需要は先細りが見込まれる。ANAも機材の小型化や不採算路線の見直しなどを進めているものの、効率化には限界もある。その落ち込みを少しでも和らげるために有望なのが、訪日外国人旅行客の移動需要である。
「何だかんだ言っても、最近の訪日旅行は国際線が就航している東京や大阪などの国際空港を発着するだけの需要が大きい。海外から日本の地方都市への観光はなかなか脚光を浴びづらかった」。H.I.Sの平林朗社長は言う。