利上げ予想を巡る賭けが債券相場に波乱もたらす 市場は利上げを織り込み済みか否か、見方分かれる
米国債利回りとドル、株式相場が向こう数カ月は緩やかに上昇すると慎重ながらも楽観的に見込むストラテジストらによれば、投資家らは米連邦準備制度がテーパリング(債券購入の段階的縮小)と同じくらいうまく利上げまでの道筋を管理できると望んでいる。
しかし、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレ抑制で利上げ前倒しを余儀なくされる必要性について、金利トレーダーらは比較的積極的な見方を維持しており、5日発表の雇用統計が次の火種になるとみられている。利上げ予想を巡る金利市場の活発な動きが債券相場に新たな波乱をもたらすリスクがある。
パウエル議長はテーパリング開始を3日発表したが、利上げについては「辛抱強くなれる」と言明した。米国株は終値ベースも過去最高値を更新し、米国債は下落。このところフラット化していたイールドカーブは幾分スティープ化した。
ストラテジストらの見方は以下の通り。
ウェルズ・ファーゴのマイク・シューマッハー氏ら
- 資産購入縮小は債券利回りを緩やかに押し上げるだろう。10年物米国債の年末利回りは1.75-1.8%との予想を維持する。将来の利上げについては、市場がまだ積極的に織り込み過ぎていると思う
TDセキュリティーズのジム・オサリバン氏ら
- テーパリングのフロー効果と利上げサイクルの開始を投資家が織り込むに連れ、利回りには幾分の上昇圧力がかかるだろう
- テーパリングは長期債の供給を差し引きで増やすため、イールドカーブのスティープ化につながるはずだが、一方で利上げサイクルが前倒しされればフラット化する
- 市場は既に2022年7月の初回利上げと同年中の2回以上の利上げを織り込んでいるので、短期債についてロングを維持
スタンダードチャータードのG10FX調査グローバル責任者のスティーブン・イングランダー氏
- 今後の市場は利上げを早めるようなデータに大きく反応すると思う-強い雇用データや高インフレ持続のデータなど
- 10-12月(第4四半期)にはそのような両データが見られる可能性が高く、3日時点の落ち着いた解釈は一時的に終わるリスクがある。
キャピタル・エコノミクスのポール・アシュワース氏
- 賃金の伸びは1980年代前半以来のペース、インフレ期待は高まりつつあり家賃などのシクリカルなインフレが急伸する兆候がある。新型コロナウイルス禍と経済再開に関連した一時的衝撃だとする米連邦公開市場委員会(FOMC)の解釈は危険なほど出遅れているように見受けられる
- しかし当局がインフレ高進はもう少し持続する公算が大きいと認めるまでには、かなり時間がかかるだろう
ユナイテッド・ファースト・パートナーズのアジア調査責任者、ジャスティン・タン氏
- シャンパンを開けるほどではないが、投資家は1、2杯は飲んでもいいという感じだと思う。株式相場は全体的に上昇するだろうが、インフレのテーマと相関性が強いハイテク株などが特に買われるだろう
原題:Rate Hike Bets the Battleground for Investors After Fed’s Taper(抜粋)
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著者:Garfield Reynolds
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