香港に代わる金融ハブに東京が10年内になる根拠 2030年までに移る可能性、米中覇権戦争で漁夫の利
前記のような観点から東京が国際金融センターになる可能性が高いと見ているが、シンガポールが香港に代わってアジアの金融ハブになるという見方もある。
イギリスのシンクタンクZ/Yenグループが2021年3月に発表した金融センターの国際的競争力を示す「GFCI(世界金融センター指数)」によれば、1位ニューヨーク、2位ロンドン、3位上海は変わらず、東京は前回(2020年9月)の調査に比べて3つ順位を下げ7位だった。4位の香港、5位のシンガポール、6位の北京が前回から1つずつ順位を上げて東京を上回り、大阪は32位だった。
この指数が発表される前の2020年10月15日、中国メディアの『百家号』がアジア圏で金融都市のひとつとして長年機能してきたシンガポールの優位性について、地理的にアセアン諸国の中心に位置していること、税制面で優遇措置が受けられること、タックスヘイブン(租税回避地)であることを挙げていた。
外国人の流入が少ないから無理?
一方、アジアで最も発展している先進国の日本が、国際金融センターの地位が得られない主な理由として、外国人の流入が少ないことなどを挙げており、エコノミストの中には、日本の税制が厳しいこと、日本のビジネスパーソンの英語力が低いことを指摘する向きが多い。
しかし、こうした見方が的を射ているとは思えない。日本は世界2位の規模の株式市場を形成しており、取引高の65%以上を外国人投資家が占めている。東京都心のオフィス街を歩けば分かるように、世界の大手ファンドの名前を多数目にする。
日本はGDP世界3位の経済大国であり、円にはアメリカドルとユーロに次ぐ強さがある。日本が豊富な資本を抱える巨大な金融市場であることに間違いはなく、とりわけ東京がアジア圏を代表する金融ハブとして機能する可能性は大いにある。