JRはなぜ自前の発電所や変電所を持っているのか

電車を動かす鉄道会社は大量の電気を使用する

鉄道会社以外でも、企業が自前で発電所を持っている事例もある。ここではJR東日本に限るが、JR東日本の場合は、前身の組織が明治時代から電車を走らせている。電気の設備が整っていない時代から電車を走らせているので、自前で発電所を備えたことは自然なことであろう。

加えて、明治・大正時代は、鉄道会社と電力会社が同じ企業の系列内にあるというのも当たり前だった。民営鉄道の場合は、沿線に電気を供給している会社が自社系列だった事例もある。当時は電気の需要が少なく、安定的に電気を使う鉄道会社と組むのが適当とされていたのだという。

なお、都営地下鉄こと東京都交通局にも発電部門がある。こちらは奥多摩のダムと合わせて作った発電所を管理するための部署で、成り立ちが違っている。

電気のバイパス

今回の火災では、変電所が焼損して使えなくなっているにもかかわらず、停電した後から順次復旧し、翌日には通常運行に戻っている。こうした事ができるのは電気設備に「バイパス」機能を持たせているからで、バイパスを用いることで仮復旧が可能となる。

ただ、先に触れたとおり、普段は担当の送電エリアが決まっている。これに加えて普段は担当しないエリアにも送電をするとなると、当然ながらほかの変電所の負担が増えることになる。場合によっては変電所の容量をオーバーしてしまうこともあり、容量に合わせて使う側を抑えることにもなる。

過去の事例だが、落雷で変電所を焼失した鉄道会社があった。仮復旧ができたものの、隣接の変電所からの送電では容量が間に合わず、復旧までラッシュの列車運行本数を削減して対処したこともあった。

JR東日本の基幹変電所は蕨をはじめ、首都圏で数カ所あり、何かあった場合は互いに融通できるように作られている。さらに言うと、変電所自体も複数の回線から電気を受ける仕組みになっているのが基本だ。

蕨交流変電所でも、焼損したものと同じ設備が見えるので、東京電力から電気を受ける部分は2重になっているようだ。これを「2回線受電」と呼んでいるのだが、一般の大規模な電気設備でも2回線受電や、3重に行う3回線受電を行う事例はよくあるものだ。

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