イギリス「まさかの感染再拡大」が意味すること またしても医療逼迫の予兆で直面する「試練」
「ブースター接種の進み具合は期待を大幅に下回っている」と話すのは、かつてイギリス政府で主席科学顧問を務めたデイビッド・キング氏だ。「イギリス政府はこれまで何もしていない。『コロナは手に負えないから、広がるのに任せよう』と言っているに等しい」という。
キング氏ら専門家がより強い対策を求める中、ジョンソン氏はこれまでの方針を維持できなくなり、冬に向けて近くプランBを導入することになるという見方は多い。
プランBとは、一定の条件下でマスクの着用を義務化したり、可能な限り在宅勤務を求めたり、大勢が集まるナイトクラブなどの入場時にワクチン接種記録の提示を義務づけたりすることを指す(スコットランドとウェールズでは同様の措置がすでに導入されている)。
規制解除から引き締めへ、おなじみの逆戻り
政府に対しては、おなじみのパターンの繰り返し、といった批判が出ている。「政府がやっていることは同じことの繰り返し。決断できずに対応を先送りし、問題にしっかりと向き合っていない」。そう話すブリストル大学のガブリエル・スカリー客員教授(公衆衛生学)は、地域公衆衛生の責任者を務めた経歴を持つ。
政府は説得力のある感染抑制策を打ち出せていないとスカリー氏は指摘する。オフィスビルの換気設備の向上、人混みでのマスク着用の呼びかけ、性能の高いマスクの利用促進といった努力を政府はほとんど行ってこなかったという。
同氏によれば、「新型コロナをコントロールしてNHSの負荷を減らす戦略が政府にはない。政府はワクチンにすべてを賭けたが、思ったような成果はあがっていない」。
(執筆:Mark Landler記者、Stephen Castle記者)
(C)2021 The New York Times Company
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