「人力車に人生を変えられた」38歳芸人の紆余曲折 犬山市が観光都市として復活できた意外な理由

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そんな中、5年前から人力車を曳き始めたのが、冒頭で登場した地元出身の小鈴木だった。

大学在学中の2003年に大阪NSCに入校し、大学卒業後は「名古屋よしもと」に所属。その後、入ったトリオのメンバーが愛知県住みます芸人だったことから、犬山お笑い人力車を曳き始め、トリオ解散後も1人で続けている。小鈴木が語る。

今日も小鈴木はお笑い人力車を走らせる(写真:筆者撮影)

「最初は『住みます芸人』に興味もなく、地元に根付いて人力車曳くっていうのも何だかなぁ……と思っていたんですが、トリオが解散になって、1人で曳くようになったらいろんなものが見えてきて。今はこの犬山にすごくポテンシャルを感じています。

今後、10年で犬山は観光地としてますます伸びます。それに合わせて、『お笑い人力車』も、会社(吉本)と一緒に事業化して、少しでも地域に貢献したいと思うようになりましたね。今では」

車夫でなく芸人として成功させてあげたい

後藤はそんな小鈴木を見守りつつ、今後の住みます芸人についてこんな思いを語る。

「小鈴木君は事業化を目指せばいいと思うんですよ。地元出身だし、やる気も商才もある。ただ、これから来てくれる子たちには、ただ『車夫』をやるのではなく、もっと『芸人』として頑張ってほしいんです。

人力車をきっかけに、1人でもいい、この犬山から“売れる”タレントを出してあげたいんですよね。愛知のローカルタレントでもいい、『芸人』として成功させてあげたいんです。

それで、人気者になった暁に『昔、犬山で人力車曳いてました』って言ってくれれば、少しは吉本さんに恩返しができる。それが、このプロジェクトのゴールかなと思っています」

(文中敬称略)

西岡 研介 ノンフィクションライター

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にしおか けんすけ / Kensuke Nishioka

1967年、大阪市生まれ。1990年に同志社大学法学部を卒業。1991年に神戸新聞社へ入社。社会部記者として、阪神・淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件などを取材。 1998年に『噂の眞相』編集部に移籍。則定衛東京高等検察庁検事長のスキャンダル、森喜朗内閣総理大臣(当時)の買春検挙歴報道などをスクープ。2年連続で編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞を受賞した。その後、『週刊文春』『週刊現代』記者を経て現在はフリーランスの取材記者。『週刊現代』時代の連載に加筆した著書『マングローブ――テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実』(講談社)で、2008年、第30回講談社ノンフィクション賞を受賞。ほかの著書に『スキャンダルを追え!――「噂の眞相」トップ屋稼業』(講談社、2001年)、『襲撃――中田カウスの1000日戦争』(朝日新聞出版、2009年)、『ふたつの震災――[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(松本創との共著、講談社、2012年)、『百田尚樹「殉愛」の真実』(共著、宝島社、2015年)などがある。

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