貴重&売れ筋「ロッキー/ライズ」発売2年通信簿 豊富なコンパクトSUVだが5ナンバー車は希少

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ロッキーの室内空間イメージカット(写真:ダイハツ工業)

生産も担うダイハツとしては、ライズを合わせた台数の生産を工場で行うので、両車両を合わせて8月の販売台数ぶんをひと月で生産したと仮定するなら、7400台という数字は事業として十分に成り立つ商品といえるだろう。

ロッキー/ライズと同様にトヨタとダイハツの共同開発となる5ナンバーハイトワゴンのルーミー(写真:トヨタ自動車)

今後へ向けて何か懸念材料があるとすれば、ライズとロッキーより3年前の2016年に発売された5ナンバーハイトワゴンの「ルーミー」が、このところつねにライズの上位で販売を続けていることだ。今年に入って、ヤリスに続く2位を堅持している。ヤリスは、ヤリスクロスとGRヤリスを含めた台数で集計されているので、ひとつの車種としてみれば実質ルーミーが首位といえなくもない。それは何を意味するのか。

5ナンバー車も、軽自動車の販売動向に見られるハイトワゴンやスーパーハイトワゴン人気に通じる、背の高いワゴン車が圧倒的人気を得ているという現実だ。暮らしを支えるクルマとして、ルーミーは軽自動車と同じように人々を満足させる存在といえるのではないか。

5ナンバーSUV以上の価値をユーザーに提案できるか

トヨタ・ライズのイメージカット(写真:トヨタ自動車)

ライズとロッキーは、たしかに5ナンバーのSUVを待ちかねた人に最高の商品となった。一方で、SUVは利用してみると座席位置が高く乗降に不便を覚えることがあり、また荷室の床は最低地上高(車体床下と路面との隙間)が高いことによってワゴンより高くなるので、重かったり大きかったりする荷物の出し入れは苦労するかもしれない。

ライズの積載イメージ(写真:トヨタ自動車)

つまり、一度体験したら次はSUVでなくてもいいと思う消費者が出てくる可能性がある。もちろん、未舗装路を走る可能性がある屋外での活動を趣味としたり、楽しみにしたりしている人にとって、5ナンバーSUVは今後も不可欠だろう。しかし昨今のSUV人気から自分も一度経験してみたかったという程度の気持ちで購入した消費者は、次は別の車種へ移行する可能性を残すということだ。

初代ロッキーが、かつてビッグホーンやパジェロが起こしたRV(レクリエイショナル・ヴィークル)人気が去るのに合わせるように生産やモデルチェンジを中止したように、SUVを愛用する人たちに次の新型を提供できるのかどうか。そこは予断を許さない気がする。

また、電動化では、ハイブリッド車(HV)のクロスビーが、販売台数で差はあるものの背後に控えている。将来的に電動化をロッキー/ライズが採り入れた際の原価低減と、価格設定の仕方も、競争力を維持するうえで大切な要素となるだろう。

5ナンバーSUVとして数少ないライバルがスズキ「クロスビー」だ(写真:スズキ)
御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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