みずほ、検査の最中に「行政処分」をくらう異例 システムトラブル続発で金融庁の検査が長期化

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みずほは、8月20日に全国の店舗窓口での取引ができなくなった障害について、機器の故障であることは分かっているものの、なぜバックアップが機能しなかったのかなど詳細な原因を特定できていない。

第三者委員会の報告書ではみずほの基幹系システム「MINORI(みのり)」について、「システムとして巨大であるがゆえにその全体像を完全に把握するのは容易ではなく、不測の障害がシステムの別の箇所に影響して大きな影響を及ぼす可能性がある」と指摘している。再発防止策を講じてもなお障害が続く以上、金融庁の検査が長引くのは避けられない。

しかも、検査が終了するまでに、新たな障害が起こる可能性も否定できない。そこで今回、障害につながりうる更改や更新作業に対して行政処分を出し、トラブル発生のリスクをできるだけ抑えようとした。異例の措置は金融庁の危機感を示すものといえるだろう。

本丸はガバナンスの改善

実際、最も広範に被害が出た2月28日の大規模なATM障害は、定期預金のデータ移行作業が波及して発生した。月末の取引集中日に作業を行ったために、メモリーの容量不足が起こった。

このとき、他の銀行やシステム関係者は「なぜシステムに負荷のかかる月末に、データの移行作業を行ったのか」と疑問を呈した。みずほの判断の甘さが招いたといえる障害だった。システム更新についての判断を金融庁が逐一チェックすれば、今後、障害発生の可能性を減らすことはできる。

システムトラブルを受けて会見するみずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(左)。経営陣の責任問題はどうなるのか。写真は2021年8月(撮影:尾形文繁)

あくまでこれは臨時措置に過ぎない。金融庁がいつまでも監視の目を光らせるわけにはいかないからだ。システムの運営を正常化させるには、ITガバナンス体制の不備を究明し、みずほ自身が早急な改善を進める必要がある。

金融庁も「システム面やガバナンス面の全般的な検証は継続する。その結果を踏まえて、改めて必要な行政対応について検討する」としている。つまり、検査終了後に本格的な処分が下る可能性が高い。

今後の焦点は坂井辰史社長を含む経営陣の責任問題だ。坂井社長は会見で、「システム障害の原因究明と再発防止体制を築くことが私の責任」と繰り返しているが、先行きは不透明だ。2011年のシステム障害の際には、西堀利頭取が引責辞任した。経営の根幹ともいうべき巨大システムをどんな体制でハンドリングしていくのか。その答えを出すには、まだまだ時間がかかりそうだ。

藤原 宏成 東洋経済 記者

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ふじわら ひろなる / Hironaru Fujiwara

1994年生まれ、静岡県浜松市出身。2017年、早稲田大学商学部卒、東洋経済新報社入社。学生時代は、ゼミで金融、サークルで広告を研究。銀行など金融業界を担当。

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