古田新太「役作りはしない」と言い切る明快な理由 鮮烈な個性と存在感を放つ役者の思いとは?
監督がよければ、それでいいのかな
──7年ぶりの映画主演、おめでとうございます。『空白』、とても面白かったです。
古田:ありがとうございます(ニコニコの笑顔)。
──今回は不慮の事故で中学生の一人娘を失った父親が、死の原因となったスーパーの店長(松坂桃李)を追い詰めていくというお話です。宣伝コピーだけを見ると“偏屈で横暴なモンスター”といったイメージでしたが、物語が進むにつれて、それだけではないいろんな面が描かれていきます。役作りについては、かなり監督と話し合われたんでしょうか。
古田:これが全然ないんですよ。吉田監督からも何にも言われてないし、オイラも「こうしてみようと思うんですよね」とかの会話もなく。で、クランクインのときに「オイラで大丈夫ですかね?」って言ったら、すっごく軽いノリで「大丈夫だと思いますよ! 古田さん、クランクインです~」って言われて始まっちゃって(笑)
──打ち合わせもないまま、いきなり始まるんですか!?
古田:はい(笑)。でも、監督がよければ、それでいいのかなと。映画は監督のものなんですよ。だから俳優は、その場その場で言われたことを全力でやるってだけでいい。そもそも台本があるわけだから“この人は多分こういうつもりでいるんだろうな”って想像はしますよ。それで監督に言われたことに対して、全力で思ったことを表現するけど、自分から「こんな表現がしたいです」とかは、まず言わないです。