「少なすぎて報酬を開示できない」--。日本電産・永守社長が株主総会で言及
日本電産は22日、京都市内のホテルで定時株主総会を開催した。冒頭に経営戦略などを説明した永守重信社長は、株主20名からの質問にも、すべて自身がマイクを握って答弁した。
日本電産は世界同時不況の影響で、08年度に業績が一時後退。だが、直後に収益構造改革を実施し、09年度は過去最高利益を更新。今10年度も主力のHDD用モーターを拡販することで、過去最高益の連続更新を目指す。業績快調とあって、この日の永守社長も“舌”好調。「10年度は念願の営業利益1000億円を達成したい」と永守社長が力強く語ると、出席した630名の株主から拍手が沸き起こった。
株主からは、同社が成長戦略の中軸に位置づける車載用モーターにつての質問も数多く出た。永守社長は中国・大連に車載用モーターの工場と研究棟を新設(10年12月竣工計画)することや、平湖にもCVT用コントロールバルブなどの自動車部品工場を建設(11年1月竣工計画)することを説明。「新規の受注も次々と決まっている」「自動車メーカーの系列企業ではないので、多様な会社と取り引きができる」など、車載用事業の売上高12年度3500億円(09年度実績約500億円*東洋経済推定)の目標に向って順調であることを強調した。
役員報酬の開示についても質問が出たが、永守社長は「報酬は少なすぎて開示できません。こんなに利益を上げているのに、報酬1億円をもらってまへんで。ただ、(営業利益目標を達成できれば)来年ぐらいには開示できるようにしたい(=1億円以上の報酬にしたい)」と回答した。
総会後の記者会見でも、永守社長は終始和やかな表情だった。「株主からの質問数は、昨年の倍だった。非常に素直な質問が多くて、開かれた総会になったという印象だ。会社のことを知ってもらう意味でも、良い総会になった」と、珍しく静かな口調。ただ、経営状況について語るうちに、次第に言葉に熱がこもった。「電気自動車向けのメインモーター事業については、お客さんと水面下で粛々と進めているので現時点では大きく公表できないが、みなさんが考えておられる以上に進展している」「今年はM&Aも加速する。車載や家電分野などを意識している」「今後のM&Aは、グローバル供給体制の構築を重視したものになる」などと話したあと、最後に「今年はいろんなニュースが出てくる。楽しみにしといてや」と言って会見を締めくくった。
(梅咲 恵司 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
◎本2010.03 587,459 78,342 75,002 51,961
◎本2011.03予 660,000 100,000 95,000 63,000
◎本2012.03予 750,000 120,000 115,000 75,000
◎中2009.09 268,743 28,321 22,474 13,788
◎中2010.09予 310,000 45,000 43,000 28,000
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1株益¥ 1株配¥
◎本2010.03 373.0 65
◎本2011.03予 452.3 80-90
◎本2012.03予 538.4 80-100
◎中2009.09 99.0 25
◎中2010.09予 201.0 40-45
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