タイは今年、東南アジア諸国の中で経済回復が最も弱い国となる可能性が高い。新型コロナウイルス感染者の急増や政情不安の高まり、観光業復活への期待低下の中でエコノミストは引き続き経済成長率見通しを下方修正している。
98年以来となる2年連続のマイナス成長も
ブルームバーグがまとめたエコノミスト36人の調査によると、今年の国内総生産(GDP)は前年比1.8%増(加重平均)が見込まれている。昨年のGDPが同6.1%減と、ここ20年余りで最大の落ち込みとなったことを踏まえると、今回の数字は景気の回復力が弱いことを示唆している。
タイ財務省は29日、2021年のGDP成長率見通しを4月時点の2.3%から1.3%に引き下げた。新型コロナ感染再拡大が4月に始まって以降、新規感染者数と死者数は過去最多を更新し続けている。一部のエコノミストは、今年下期にテクニカルリセッション(景気後退)に陥る可能性を指摘。さらに、アジア金融危機時の98年以来となる2年連続のマイナス成長を予想する向きもある。
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