日銀の気候変動オペ、利用残に応じた付利に賛否

設計から難しい対応迫られる金融政策の新領域

日本銀行は今週の金融政策決定会合で、金融機関の気候変動対応投融資を支援する新たな資金供給制度(気候変動対応オペ)の骨子を決める。投融資を促すインセンティブとして、利用残高に応じたプラス金利の付利が有力とみられていたが、日銀内部や金融機関からは慎重な意見も示されるなど、金融政策の新領域は制度設計の段階から難しい対応を迫られている。

複数の関係者によれば、15、16日の会合を前にした金融機関からの聞き取りや日銀内部での協議では、気候変動対応オペへのプラス付利の適用を巡って意見が割れている。ブルームバーグがエコノミスト47人を対象に6-9日に実施した調査では、プラス付利を過半が予想していた。

金融機関の一部からは、プラス付利という実質的な日銀の補助が原資となることで、企業から金利の引き下げを求められたり、気候変動対応といった発展途上の市場におけるスプレッドの縮小を招いたりする懸念も出ている。気候変動対応の基準や分類が流動的な段階で、補助金に近い強いインセンティブを与えること自体を疑問視する声も日銀内にある。

オペの対象は金融機関が気候変動対応と判断した投融資になり、透明性を確保する手段や海外向けの扱いなど検討すべき項目は多い。日銀は年内の運用開始に向け、骨子をたたき台に金融機関と議論を深め、今秋にも制度の詳細を決定する見通しだ。

複数の関係者によれば、グリーンファイナンスの最大の出し手である三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガグループや地方銀行は、何らかのインセンティブがなければ日銀資金を活用するメリットは乏しいとみているという。コロナの影響もあり、貸し出しを上回る預金の増加が続いているためだ。

気候変動には中長期的な取り組みが必要になるのを踏まえ、貸付期間を長く設定することもインセンティブの選択肢に含まれるという。マイナス金利の適用残高の縮小も選択肢となるが、付利に比べ魅力はかなり低下するとみる金融機関もある。

付利の根拠となる貸出促進付利制度では現在、新型コロナウイルス感染症対応金融支援特別オペにプラス付利が適用されている。同オペは来年3月末までの時限措置となっており、ポストコロナも展望し、気候変動対応オペを同付利制度の中でどのように位置付けるかに市場は注目している。 

世界の中銀も対応

中銀の権限を超えるとして一部から批判も出る中、新たな領域へ踏み出そうとする日銀が直面する多様な意見は、気候変動対応オペという新制度において大胆さと効果の間で適切なバランスを見いだすことの難しさを浮き彫りにしている。 世界の中銀では、将来的な経済への影響を回避するために地球温暖化に対し行動を起こす機運が高まっている。欧州中央銀行(ECB)は先週、政策策定に気候変動の基準を含めることを決定。イングランド銀行(英中銀)は気候変動問題への対応をマンデート(使命)と位置付け、資産のグリーン化に動き出した。

日銀では、金融政策以外の分野も含めた気候変動に関する方針も策定中だ。気候変動問題が日銀の使命に関わる重要な課題との認識の下、金融システムの安定維持に向けた対応や日銀自体の取り組みが示され、早ければ月内に公表される見通し。

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著者:伊藤純夫、浦中大我

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