新しい挑戦に自信がない人に知ってほしい始め方 最初は「たったひとりの熱狂的ファン」から

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多くの人は、ルールのあるゲームを探してしまいます。野球が好きなら野球、サッカーが好きならサッカーというように、ある一定の世界のなかでスキルを磨き、プレーヤーとして上に登っていこうとします。

サンクコストという意味では、「いままで野球をやってきたのだから」という、磨いてきたスキルへの固執が当てはまるでしょう。時代が大きく変わっても、自分がやってきたスキルの枠内で「新しいニーズに合うものがあるだろうか」と考えてしまい、結局は世の中やまわりの人の、移り気なニーズに左右されてしまうのです。

確かに、スキルの一部分は活用できます。たとえば、野球で必死にベースランニングをしてきた人は、別の競技でも仕事でもその体力は役に立ちます。

オリジナルの競技をつくって勝負すればいい

ただ、わざわざ別の競技を探してやり直すのもまた、それはそれで要領が悪い面がある。ましてや「そうしなければいけない」わけではないので、それならば、「もう自己中の勝手なルールをつくって生きていいんじゃない?」と僕は思います。

与えられた場所でキャリアを積むことに価値がないとはいいませんが、いま与えられている場所やポジションにアイデンティティーを合わせる生き方を続けていると、その場所がなくなった途端、生きていく意味を見失ってしまう危険性があります。

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そして実際に、コロナ禍による環境の変化や劇的な科学技術の進歩などによって、いま、いろいろな分野で、そうした既存の「場所」が音を立てて崩れ去りつつあるのです。「この競技だったらわたしは活躍できる」というものがなくなる世界。そんな世界を生きていくには、すべての人が、もうそれぞれオリジナルの競技をつくっていけばいいのではないでしょうか。

自分だけの人生なのだから、「これが好きで面白いからこれで生きていこう!」と思えればいいのです。これまでの自分がいた場所から、まったくちがう場所へと飛んでいくようなマインドセットを持つことがとても大切。

もっと「自己中」になって、自分が楽しいか楽しくないかで決めればいいのです。

澤 円 圓窓代表取締役

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さわ まどか / Madoka Sawa

元日本マイクロソフト業務執行役員。立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年日本マイクロソフト入社、2006年にマネジメントに職掌転換。幅広いテクノロジー領域の啓蒙活動を行うのと並行して、サイバー犯罪対応チームの日本サテライト責任者を兼任。2020年8月末に退社。2019年10月10日より、圓窓代表取締役就任。2021年2月より日立製作所Lumada Innovation Evangelist就任。琉球大学、武蔵野大学にて客員教員を務める。著書に『個人力』『「疑う」からはじめる。』他。

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