他人を妬む人がいるのも仕方がない生物学的理由 進化してもイライラや孤独感は捨てられていない
前項で述べたように、私たちの祖先は100人くらいの小集団で、一生共同生活をしていました。
もちろん夜も一緒に眠っていたにちがいありません。暗闇に乗じて猛獣が襲ってきたら、みんなで一致団結、戦って追い払ったのでしょう。
共同生活には、息苦しい面もあったのかもしれません。集団の掟を守らなければならないし、集団の中で期待される役割を果たす必要もあります。文明社会では、そういった集団のしがらみが嫌われたようで、個人で生活する傾向が強くなりました。
猛獣が襲ってくることもなくなったので、夜ひとりで眠っていても問題がなくなったのも、個人化傾向が強まった理由でしょう。
仲間が一緒にいない夜はとくに寂しく思う
しかし、心の働き方は、文明社会の個人化に順応できていません。依然として夜は危険であると感じるのです。猛獣がいないはずの暗闇に恐怖を感じると、そこに幽霊がいるなどの幻想を抱く人もいます。幽霊は「見知らぬ敵」であり、現代における危険な存在の象徴です。
こうして、仲間が一緒にいない夜は、孤独を感じやすく、とくに寂しく思うものなのです。
孤独をやわらげる方策には、幽霊の幻想の代わりに、芸能人の幻想が役立ちます。好きな芸能人のポスターを貼って、夜一緒に寝ているところを想像するのです。すると、孤独感も解消できていきます。
しかし、この想像があまりに強くなると問題です。当の芸能人が結婚するという段になると、自分のパートナーが奪われる気がして、嫉妬を感じたりストーカー行為に及んだりしてしまうのです。適度に想像して、孤独感を防止しましょう。
ただ、夜はよしとしても昼も孤独なのは望ましくありません。私たちの心の働きの多くは、和気あいあいの協力集団向きになっています。これも狩猟採集時代の名残です。1日中人との交流がなければ、心の疾患を抱えやすくなります。
夜孤独なのはしょうがないとしても、昼の活動は仲間と一緒にわいわい楽しくしたいものです。
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