日テレ一強の決算にみるテレビ戦略の致命的ミス

放送産業の大きなパラダイムシフトをひもとく

簡単にいうと、視聴率が高ければ売り上げが上がる時代は終わった。なにしろテレビ放送から若い層を中心に人々が離れつつある。視聴率がどうあれ、放送収入は下がることはあれ、上がることはないだろう。

ここで誤解してはいけないのは、人々が離れているのは「放送」であって必ずしも「番組」ではない、ということだ。いい番組があれば、見たいときに見やすい環境でなら見てくれる。ただし、「いい番組」は人によって状況によって違う。昭和のように不特定多数にとっていい番組を出せば大勢が見てくれる時代ではない。

特定の層が見たい番組を、その層が見たい形でいつでも見られるようにしなければならない。つまり、配信も積極的に行うべきだ。放送は、そういう番組を生み出すショーウィンドーのようなものになるだろう。

テレ東の「利益を高める」戦略

そんな考えがあってかはわからないが、決算とともに発表された中長期的な考え方にも変化が見られる。例えばTBSは「TBSグループVISON2030」を発表した。

去年TBSは持株会社を東京放送ホールディングスからTBSホールディングスに改称しロゴなども一新していた。そこからつながった考え方がVISION2030にある言葉「コンテンツを軸に成長を目指す」に結実しているように見える。日本テレビはずいぶん前から明解な戦略を打ち出していたので、それに続く形だ。

テレビ東京が発表した中期経営計画にも注目したい。TBSの大仰なファイルに比べると、シンプルなペライチの書類だ。ただ、きちんと読むと重要なことが書いてある。「今後3年間で「配信とアニメ」事業の粗利益を 50%増やす計画です」。

テレビ東京は前々から決算説明資料の中で、業績を「放送」と「ライツ」に分けて表現していた。「放送」のほうが売り上げはずっと大きいがもう伸びないことがはっきりしている。「ライツ」は売り上げでは小さいものの利益では「放送」の2分の1くらいだ。アニメに注力してきたので2次利用収入が増え、利益における「ライツ」の比重が高まっている。

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