ウーバー配達員を悩ますタワマンの複雑な構造 毎回異なる建物に食事を配達することの難しさ

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ふと疑問に思ったのだが、こんなに不便なマンションに住みたい人っているんだろうか? 大災害が来たら一体どうやって逃げるのだろうか。なんとか状況を飲み込んで、エレベーターに向かうと、そこにあったのはエレベーターの扉と、コンクリート打ちっぱなしの壁。そして薄暗い照明。早く届けないといけないので、エレベーターに乗りたいのに「▲」や「▼」のボタンが見当たらない……。

老眼が進む目を細めてよーく見てみると、カメレオンが自分の皮膚の色を周囲に合わせるかのように、壁と一体化したエレベーターのボタンを発見した。時計を見ると、マンションについてからもう7~8分が経過している。

注文者からかかってきた電話

急がねば、注文者から催促があるかもしれない。焦った私は、配達先の階のボタンを押して向かうが、その階には橋がかかっていない。別の階へ行くと、今度は橋があるものの、配達先の部屋がある塔へと向かう橋がない。

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そんなことを繰り返し「中学生のときに、ドラクエⅡのダンジョンで迷って途方に暮れたことがあったけど、リアルの世界でドラクエと同じ経験をするとは……」と肩を落としていると、「迷っていますよね。すみません。1階まで取りに行きます」と注文者から電話が。

優しい注文者に救われた。住んでいる人は、毎日出入りしているので慣れていると思うが、配達員にとっては、オシャレなマンションは迷路のよう。

注文の際に、注意事項として、攻略の難しいダンジョン部屋までのルートを書き込んでもらえるとありがたい。

渡辺 雅史 時刻表探検家

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わたなべ まさし / Masashi Watanabe

1975年生まれ。フリーライターとして、週刊誌や月刊誌で記事を執筆するほか、テレビやラジオ番組の構成にも携わる。2009年、国内の鉄道に完乗。時刻表の誌面に載っている"変な列車"や"味のある列車"を探すことをライフワークとしている。

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