益子直美さんがミズノの大会に違和感を抱く訳 「怒ってはいけない」同じ大会名でもこうも違う

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例えば、試合方式。ミズノの今回の大会はすべてトーナメントで行われる。5月から9月にかけて、高校野球の甲子園大会と同様に都道府県予選(自主対戦方式と呼ばれるチーム同士で場所や日時を決めて試合を行う)を経て、全国大会で日本一を決める。

1回戦~3回戦(9月18~20日)は茨城県水戸市にて開催。準々決勝以降は11~12月初旬、プロ野球のチームが使用する球場で開催を予定している。予選参加はCLUB MIZUNOへの登録が必要だが参加費は無料。ただし、全国大会出場時は参加費1チーム2万円だ。

大会名に「怒らない」ことが書かれているが、中身は「勝ちを目指す」ごくごく一般的な大会だ。

一方の益子カップは、全く違う。

「監督が怒ってはいけない大会 益子直美カップ」の過去の大会の様子。子どもたちが笑顔なのが印象的だ(写真:益子さん提供)

まず、参加チームがほぼ同じ数だけ試合ができるリーグ戦方式を貫いている。ノックアウト方式のトーナメント制にすれば、監督も選手も目の前の試合を是が非でも勝とうと必死になる勝利至上主義に陥りやすい。そのため、開催地エリアの子どもたちだけを対象に、男女合わせても40~50チームが参加する小規模な大会にとどめている。

交通費などで家庭に負担をかけずに1~2日で開催する。参加費はひとり500円(2020年1月福岡大会参考)だ。最優秀賞の代わりに「スマイル賞」を設けたり、「アンガーマネジメント」などの大人が子どもとの接し方を学べるセミナーも行う。

つまり、大会のいちばんの目的は「勝利」ではない。「監督が怒らない形で試合をすること」なのだ。

益子さんがそう考えるに至った過去の経緯

「子どもたちが楽しんで取り組める環境作りをしたいと思って、怒らないバレーボール大会を始めました。小学生はスポーツを始める入り口の段階です。厳しい指導をするよりも、まずはバレーボールって楽しいなと思ってもらうことが大切です」

益子さんがこう考えるに至ったのは、中学、高校ともにずっと監督に怒られて育ったからだ。練習でもミスすると怒られるので、それを恐れ、次第にコートぎりぎりに入るスパイクを狙うといったトライをしなくなった。

「実業団に入っても、私にトスをあげないでというセッターと私だけの間で通じるサインがあったくらいです。いつも監督の目を恐れて萎縮し、自分で考えてプレーできなかった。早い段階で、怒られずのびのびプレーする経験をしていれば、もっと伸びたと感じる。私のようになってほしくない」

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