うつではないのに「やる気が出ない状態」の正体 幸福とうつの間にある精神的に空虚な状態

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つまり、私たちは境界を設定する必要があるのだ。何年も前に、Fortune 500の中のインドのソフトウェア会社が単純な方針を試験的に導入した。火曜日、木曜日、金曜日の午前中は人の仕事を妨害してはいけないというものだった。

自身で境界を設定したエンジニアのうち、47%が平均以上の生産性を発揮した。しかしながら、会社が公式な方針として静かな時間を設定すると、65%の人が平均以上の生産性を発揮した。仕事の業績上、量をこなすことだけがいいわけではなかった。日常的な喜びや、動機づけに最も重要な要素は「進歩の実感」であるということがわかった。

私は、火曜日、木曜日、そして金曜日の午前中に何か魔法のようなものがあるとは思っていない。この簡単な思い付きの教訓は、邪魔をされない時間を、守るべき宝のように扱うべきであるということである。それによって、私たちは集中する自由を得られる。私たちは十分な注意を引くような経験の中に慰めを見出すことができるのである。

小さな目的に集中する

パンデミックによって大きな喪失を味わった。虚脱感を乗り越えるには、ミステリーを謎解く小さな達成感、もしくは7文字の言葉遊びの興奮のような小さな勝利から始めてみるべきである。

流れへの最も明確な道の1つは、ちょうど管理可能な程度の難易度のものである。それは自身の能力を伸ばし、決断力を高めるような挑戦のことである。つまり、自身にとって有意義な挑戦に集中する日常的な時間を作ることである。それは、興味深いプロジェクト、達成する価値のある目的、有意義な会話などのことである。時にこれは、何か月間にも渡って欠如していた活力や情熱を再発見するには小さな前進である場合もある。

虚脱感は単に私たちの頭の中に存在するだけではない。それは私たちの周辺環境にある。病にかかった文化は個人的な包帯では治癒することはできない。私たちは精神衛生への挑戦を非難する世界ではなく、依然として身体的健康への挑戦を正常化する世界に住んでいるのである。

新しいパンデミック後の現実世界に進むうえで、精神衛生と健康について再検討する時が来た。「うつではない」ということは、必ずしも苦しんでいないということではない。「燃え尽き症候群ではない」ということは、必ずしも気合が入っているということではない。多くの人が脱力状態にあるということを認めることで、私たちは静かな絶望を表明し始め、虚無感からの脱出の道筋を照らし始めることができるのである。

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