ちなみにGSやCXのフォルムを描いたのは、当時のシトロエンのチーフデザイナーだったロベール・オプロンという人物だ。彼は「2CV」や「DS」を生み出したフラミニオ・ベルトーニのもとで働きはじめ、ベルトーニの没後はチーフデザイナーとしてグランドツアラーの「SM」やGS、CXを生み出した。
1974年にシトロエンがプジョーと合併してPSAを結成すると、ルノーに移籍。こちらでは、SMよりひと回り小柄なパーソナルクーペ「フエゴ」などを手がけた。さらにその後フィアットに移籍し、前衛的なスタイリングで衝撃を与えたアルファ・ロメオ「SZ」に関わった。
残念ながらオプロンは今年3月29日、新型コロナウイルス感染症でこの世を去ってしまったが、GSに続いてCXの精神を受け継ぐ新型車がシトロエンから登場したことを、特別な感慨とともに天国で見つめているのではないだろうか。
XMに近いパッケージング
C5 Xに話を戻すと、スタイリングはセダンとステーションワゴンの融合とのことで、エアロダイナミクスに特に配慮した点などはCXと共通する。
ただし、CXのセダンはハッチバックではなく独立したトランクを持つ構造で、別に垂直に近いリアゲートを持つワゴンボディが用意されていた。そのため、パッケージングでは、ハッチバックを取り入れた次のフラッグシップ「XM」に近いと言える。
ボディサイズは全長4805mm×全幅1865mm×全高1485mmで、日本では2015年に販売を終了した先代C5とほぼ同じだ。ホイールベースは2785mmとなっている。
ちなみに現在、日本市場でC5を名乗る車種としては「C5エアクロスSUV」があるが、こちらは4500mm×1850mm×1710mmとかなり短く、逆に背は高い。
ボディサイドで気づくのは、シトロエンが2014年発表の「C4カクタス」で導入し、新型C4にも採用した「エアバンプ」と呼ばれるプロテクションパネルが消滅していることだ。シトロエンのフラッグシップという車格、CXを思わせる流麗なシルエットにはそぐわないという判断なのだろう。
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