海外小国へ次々と進出する資生堂の狙い
資生堂が海外の小国への進出を加速している。昨年、エジプトやラオス、モロッコ、アゼルバイジャンで高級化粧品の販売を始めたほか、今年5月下旬には国内化粧品メーカーとして初めてモンゴルへ進出する。国内化粧品市場が成熟する中で、今後の成長が期待できる地域にいち早く足がかりをつかみ、ブランドイメージを確立して将来の収益源を育成する狙いだ。
モンゴルでは、代理店のビシュレルト社を通じて、首都ウランバートルのショッピングセンター内に、資生堂がグローバルブランドと位置づける「SHISEIDO」を出店。口紅やアイシャドーなどのメーキャップ化粧品や、化粧水をはじめとするスキンケア化粧品の高級タイプを販売する。モンゴルへの展開で、資生堂は海外74の国と地域に参入することになる。
モンゴルの高級化粧品市場は、2008年で約8000万円と小さいが、03年からの6年間で2倍に成長した。近年は資源開発に支えられて経済成長が進み、都市部に住む女性のおしゃれに対する意識が高まってきている。米エスティローダーや仏ロレアルなど世界の競合が早々と参入を果たし、資生堂も遅れまいと進出を決めた。
世界の強豪と比べて資生堂の海外における知名度は低いが、「おもてなし」をモットーにする日本流の丁寧な接客で、ブランドイメージの浸透と固定客の獲得を図る考えだ。
資生堂はここ最近では、09年にエジプトやラオス、モロッコ、アゼルバイジャンに進出。今まで国内の競合が手を付けていない小規模な市場に相次いで参入している。資生堂がここまで海外進出を急ぐ背景には、国内市場の成熟化がある。
日本の化粧品市場は、ここ10年間頭打ち状態。今後も少子高齢化で成長の余地は限られている。
その上、昨今の消費不況で、大手化粧品メーカーが主力とする中価格帯(2000~5000円)の化粧品からは客足が離れ、資生堂が強いブランドを持っていない低価格化粧品(2000円以下)に需要が移行している。