──現地の村で子供たちに夢を聞くと、途端にシーンとしてしまう場面が出てきます。知らされたのが、彼らは農家になる未来しか知らない、という現実。
「農家の子供たち、働いてるって知ってた?」と聞かれて、マジかと。「自殺さえなくなれば子供が働いててもいいの?」「知ってた? カースト制度で彼らは大学など絶対行けないんだよ」「女の子は12歳で嫁に行くの」等々。全部知らんかった。急きょプロジェクトの目的に児童労働禁止を加え、基金の使途に就学・復学支援や高等教育への奨学金を加えました。
「学校に行くのががかっこいい」と憧れるのが大事
──お金で改善は進むのですか?
進まないですよ、親が学校行ってないんだから。まずは、踊りながら太鼓たたいて「学校に行こう」と村中練り歩いた。プロジェクトに参加すれば借金しなくていい、農業を教えてくれる、お金も出る。親はそれと子供を働かせることをてんびんにかけて、「だったら学校行かせるか」と。自分が行ってないから学校への理解は低いけど、子供には幸せになってほしいと思ってますから。奨学金を渡すとき目を潤ませる親を何人も見ました。
──太鼓たたいて練り歩くキャンペーンが功を奏すものですか?
これは現地パートナーの発案で、僕らも最初、ピンとこなかった。ところが、隊列に選ばれたスタッフは「俺は教育推進委員長だ」とめっちゃテンション上がって頑張る。それを見た子供たちは「学校行くのカッコいい」と憧れる。親も「アイツこないだまで同じボロの服着てたのに、ポロシャツ着てバイク乗って教える側になってるやん」と。効果あるんですよ。
よく、環境のため、子供の未来のため、とかお題目唱える人いるけど、何々しなければいけない、では人は動かない。憧れとか、自分も頑張ればこうなれるかも、というモチベーションが1番だと思います。
──これまでを振り返って、「おおよそが常に辛く、時にやりがいや達成感」と書かれていますが。
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