ドコモ、「アハモでギガホ勧誘」景表法違反か おとり的に活用、組織的に店舗に手法指示

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そもそも、「ドコモに乗り変えたほうがアハモに移行するのにラク」というドコモ推奨のセールストークの「ラク」とはいったい、どういう意味なのか。

記者が複数の出張販売で店員に聞いてみたところ「今、ギガホに乗り換えておけば、アハモにするときにはプラン変更の手続きで済みます。MNP(モバイル・ナンバー・ポータビリティ。携帯電話の番号を引き継ぐこと)の手続きもここで私がやります。ですが別の会社から直接アハモにしようとすると、ご自分でMNP番号を取らなければなりません。だから、この場でドコモに移ったほうがいいですよ」という趣旨の説明をされた。

だが、ドコモの代理店関係者は「ドコモにいったん乗り換えたほうがラクというのは、まったく事実ではない。むしろほかの通信会社からアハモに直接乗り換えたほうが遥かにラクだ」と断言する。

出張販売でスタッフが勧めるようにその場でほかの通信会社からドコモにいったん乗り換える手続きをすると約1時間、口頭で説明を受けなければならない。携帯電話の通信契約を対面で行う場合、総務省は事業者に対し客に内容を細かく説明する義務を課しているからだ。

ドコモは昨年12月に代理店に配布した施策資料で、アハモをおとりにしてギガホなどへのPI(乗り換え獲得)につなげるように文書で指示している(記者撮影)

ドコモが「【お願い事項】出張販売におけるahamo活用について」と題した資料は、2020年12月に代理店に配られた。そこにはアハモを集客コンテンツとして活用したうえで、客への訴求方法として「ahamoにするにしてもdocomoからの方がラクなので今のうちに乗り換えておきませんか」などとアピールして契約を取るように記されている。まさに記者が実際に受けた店員の話と瓜二つの内容だ。

MNP番号の取得は容易にできる

一方、オンライン上で、他社からアハモへの乗り換えの手続きを自分でする場合には、こうしたプロセスはない。画面上に表示される説明項目のうち読む必要があると思うものだけ確認すればよく、ものの数分もかからない。

また、MNP番号の取得もオンライン上で簡単に済ますことができる。もしくは携帯電話各社が指定する番号に電話をかければ短時間で済む。本来、これはまったく手間取る作業ではない。総務省は他社への乗り換えを防止することを禁じており、携帯電話各社は利用者がMNP番号の取得を容易にできるようにしていなければいけないからだ。

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