菅首相、違法接待で「谷脇切り捨て」の罪深さ 懐刀の官僚を更迭、避けられぬ首相の政治責任

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菅首相は2005年から2007年にかけて副総務相、総務相を歴任した際、NHK受信料値下げなどで旧郵政系官僚を「菅チーム」に仕立て、人事を通じて支配してきたとされる。国会の違法接待で腹心の谷脇氏を筆頭とする「菅チーム」が解体されれば、総務省全体への指導力低下も避けられない。

その一方で、『週刊文春』が暴露した今回の違法接待問題は、菅首相の政権運営に大きな影響を及ぼすのは確実だ。接待の主役となった東北新社の創業者(故人)は菅首相と同郷の秋田県出身で、菅氏への政治献金も総額500万円にのぼる。菅総務相当時の政務秘書官を経て、東北新社に入社したのが菅首相の長男・正剛氏だ。

東北新社が仕掛けた総務省幹部への接待の場の多くに、当時部長職だった正剛氏が同席している。だからこそ、野党側は「接待の仕掛人は首相の長男、だから総務省幹部も断れなかった」と国会で菅首相の責任を追及している。

菅氏長男が同席していれば「大丈夫」

これに対し菅首相は当初、「長男とは別人格」と色をなして反論した。しかし、長男が同席した違法接待が次々と発覚すると、「私の長男が関係して、結果として公務員倫理法(規程)に違反する行為をすることになった。このことについては心からおわびを申し上げ、大変申し訳なく思う」と謝罪に追い込まれた。

さらに、谷脇氏と旧郵政省同期入省で、初の女性内閣広報官に抜擢された山田真貴子氏(60)も、長男が同席する超高額の違法接待で広報官辞職に追い込まれた。

菅首相は「総務省幹部の辞職ドミノにつながることへの危機感」(政府筋)から、いったんは山田氏を続投させたとされる。しかし、「新たな文春砲でNTT接待でも山田氏の名前が出る」ことを察知し、山田氏が体調不良で広報官を辞職したことにより、与党内からも「判断を誤って、後手に回った」(公明幹部)との批判が相次いだ。

極めて有能な官僚と評価されてきた谷脇、山田両氏らが、「信じられない脇の甘さで違法接待を受けた」(有力省庁幹部)ことの背景には、「菅首相の長男が同席していれば大丈夫との判断の甘さ」(同)があったことは否定しようがない。

野党側は「長男は接待要員だ」と指摘。菅首相は「そうしたことはありえない」と否定したが、野党側はさらに「菅首相には政治責任がある」と執拗に追及した。

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