「スペイン風邪」流行時に鉄道利用者は減ったか

明治初期からのデータを調べて判明した事実

大正期のスペイン風邪流行時に鉄道利用者はどのくらい減ったのだろうか(写真:よしお/PIXTA)

 

新型コロナウイルス感染症の拡大に揺れた2020年度は、鉄道にとっても未曾有の出来事に翻弄された年度として記憶に残るであろう。

国土交通省の「鉄道輸送統計調査」によると、2020年度の旅客輸送人員は4月から11月までの8カ月間でJRが45億2075万4000人、私鉄や公営、第三セクターなどから構成される民営鉄道、略して民鉄が73億3744万4000人、合わせて118億5819万8000人であった。前年度同期はJRが65億3471万9000人、民鉄が108億4513万人の計173億7984万9000人であったから、減少した旅客輸送人員はJRが20億1396万5000人、民鉄が35億768万6000人、合わせて55億2165万1000人だ。

終戦の年よりも落ち込んだ

年度別の旅客輸送人員は、JRが前身の国有鉄道時代の1872年度から、民鉄が1926年度から記録されている。実のところ、4月から10月までの7カ月間の段階で2020年度はJR・国有鉄道、民鉄、そして鉄道全体のすべての項目で前年度と比べて減少数の最多記録をすでに更新してしまった。それまで旅客輸送人員が最も多く減った年度は、JR・国有鉄道が1969年度の3億2754万7000人、民鉄が1945年度の15億1877万2000人、鉄道全体ではやはり1945年度の16億5306万8000人であったから、今年度がいかに大きく減少したかがわかるだろう。ちなみに、過去最も輸送人員が減った理由は、1969年度の国鉄が運賃の改定、それから大都市圏で開業した地下鉄の影響によるものだ。1945年度は言うまでもなく空襲の激化である。

続いて、前年度と比較した旅客輸送人員の減少率を見ていきたい。2020年度は11月まででJRが30.8%、民鉄が32.3%、鉄道全体が31.8%となった。民鉄、鉄道全体はともに1945年度のそれぞれ28.6%、19.6%の減少率がそれまでのワースト1位であり、2020年度の旅客輸送人員の動向がこのまま推移すれば、はなはだ遺憾ながら記録更新はほぼ確実だ。

ところが、JR・国有鉄道の場合は上には上がいて、1885年度は35.7%であった。2020年10月以降の状況がよほどひどくない限り、不名誉な記録を135年ぶりに更新する事態は避けられるかもしれない。

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