マツダ「RX-7」パーツ復刻、今は旧車がアツい! 絶版車回帰、メーカーが考えるブランド再建

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自動車メーカーが、今まであまりケアしてこなかった自社の生産終了モデルに対し、(今さらながら)パーツの再供給を始めた背景には、こういった「クルマ好き」に対する自社ブランドのアピールなどもあるのだろう。例えば、国産旧車のオーナーたちは、自社の自動車を長く乗り続けてくれている、いわば「お得意様」だ。新車販売台数の減少傾向が続く昨今、そういった「顧客確保」の重要性も見直されてきたのではないだろうか。

さらに、旧車好きの若い世代は、これから自社の自動車に乗ってもらえるかもしれない大切な「見込み客」だといえる。旧車に対するアフターサービスは、「このメーカーは後々も愛車の面倒をきちんと見てくれる」など、若い世代に良好なイメージを持ってもらう絶好のチャンスだともいえる。

旧車の価格高騰もパーツ復刻のキーワード

旧車ブームは、名車と呼ばれている生産終了モデルの中古車相場も押し上げることになった。例えば、日産が1968年に発売したスカイライン2000GT-Rの初代モデル、通称「ハコスカ」は、フルレストアした車両が1000万円を超えるものもある。

今では1000万円以上という価格も当たり前になっているスカイライン、通称「ハコスカ」は旧車の代表格だ(写真:日産自動車)

筆者の知人にも、前述のマツダ・RX-7の3代目(FD3S型)を4年程前に購入した20歳代後半の若者がいる。彼は、レースなどに興味があることもあり、数々の戦績を残したスポーツカーであるRX-7が欲しくて、20年以上も前に発売されたモデルにもかかわらず、約150万円で購入した(RX-7の中古車相場は現在さらに上がっており、程度がいい車両は新車価格の2倍以上、800万円を超えるものもあるようだ)。ちなみに、知人が当時困っていたのが、やはり補修パーツの入手だ。インターネットのオークションなどを探すしか手がなく、見つかっても高額なものが多かったという。今回のマツダが実施するパーツ再供給で、彼のカーライフがより充実したものになることを祈る。

国産名車の価格が高騰している理由のひとつに、海外への流出も挙げられる。例えば、アメリカには、通称「25年ルール」というものがある。アメリカでは、基本的に中古車の輸入が厳しく制限されている。安全基準や排出ガス規制がクリアできないと、多くの州で登録ができない。ところが、生産から25年を経過した自動車については、「クラシックカー」としての登録が可能で、州によっては日本車のように右ハンドルの自動車でも登録することができる。

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