1920年代が明るかったのは世界でアメリカだけであり、欧州も日本も大変な時代だったのである。日本では政治家の暗殺が相次ぎ、軍部が台頭し、金融恐慌があり、関東大震災があり、金本位制への復帰に揺れ、それがすべて裏目に出て、経済は大混乱し、そのなかで軍部の台頭へ歯止めが効かなくなっていった時代なのである。
そして、明るく見えたアメリカも、それはさらなる暗黒の前触れに過ぎなかったのである。
2021年が暗くなる「さらなる2つの理由」
さて、21世紀に話を戻すと、2021年が暗くなる理由はさらに2つある。第1に、「アフター・コロナ」にならないことである。
欧州は第2波が襲い、再度のロックダウンが各国で行われ、アメリカは、トランプ政権のコロナ対応の不徹底から、感染拡大がいつまでも止まらず、死者は増え続けている。
そして、日本は、欧米に比べればましだというが、インドを除くアジアでは最悪で、所得水準も医療レベル、カバレッジも最高レベルであるにもかかわらず、死者の増加ペースが加速している。
なぜ、アジアが欧米、南米に比べてましなのかは、理由はいまのところはっきりしない。だが、少なくとも日本は、その恵まれた状況にもかかわらず、無駄に感染を拡大し、無駄に犠牲者を出している。それは、政治、政策の混乱というよりは稚拙さであり、悲観的な見通しを持たざるを得ない。
また、日本では4月の第1回目の非常事態宣言時の経験を活かせないどころか、事態を大きく悪化させてしまっている。
なぜなら、人々の恐怖心から来る自粛に頼った解決をしたために、2度目となるとどんなに自粛を求めても効果が限られる。すでに自粛をしている慎重な人や高齢者たちは、さらに恐怖におののく。過剰な自粛というよりは、恐怖の萎縮となる。
一方、形式的にしっかりしている大企業や古い組織は、緊急事態宣言にはルールを遵守するという行動パターンから、すでに対策が十分なところも、自粛を行う。
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