スペインでついに始まった「ホテル売却」の嵐

世界第2位の観光大国で起きている深刻な事態

バルセロナといえば、新型コロナ発生前は年間観光客数が約3200万人と、人口の約20倍に上り、オーバーツーリズム問題から2年前から新たなホテルの建設が禁止されていた街。ホテル売却という話題が上がることなど一切なかったのが、たった1年あまりで状況は大きく変わってしまった。

売却希望数が4番目に多いバレアレスは、マヨルカ島とイビサ島などがある自治州で、まさに観光で潤っている諸島である。イビサにある敷地面積4000平米、60台駐車可能な駐車場を擁する7階建てホテルの売値は5250万ユーロ(63億円)。これが現在売値ベースでスペインで最も高いホテルだとされている。

バレンシア州の場合は、地中海で最大のリゾート地ベニドルムがあるアリカンテ県で20軒が売却リストに掲載されている。カナリア諸島だと例えばラス・パルマスにある客室数185(バルコニー付きで各部屋オーシャンビュー)あるホテルの価格は、3100万ユーロ(37億2000万円)となっている。

バルセロナとマドリードの違い

マドリードでも5つ星ホテルが売却を希望しており、その価格は6500万ユーロ(78億円)と、8000万ユーロから値下げされている。

最も、同じ大都市でもバルセロナに比べてマドリードで売却を希望しているホテルが著しく少ないのは、マドリード市が固定資産税を50%減額するなどの支援をしていることが1つ挙げられる。またカタルーニャが独立の動きを強めて以降、バルセロナへの投資が鈍化していることも背景にあるようだ。

スターズフォーによると、売却を望んでいるホテルはどこも「水がもう首のところまで来ている状態」だという。一方、買い手は購入した価格から年率8%の収益が見込める必要があるとしている。そこで買収を希望している投資家は大幅な値下げを求める可能性が高い、と同ブローカーは指摘している。

いずれにしても、売却する場合に1つの目安となっているのが、客室数80以上あるホテルだと、1部屋当たり20万〜50万ユーロで総額1500万(約18億円)〜5000万ユーロ(約60億円)が相場となっていると、スペインの通信社エウロパ・エクスプレスは報じている。

これまでのところ、買収については多くの報道はないが、今後どういう投資家や企業が買収に名乗りをあげるのか気になるところだ。

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