初任が「特別支援学級」だった教員の動揺と救い 当初感じた「疎外感」と芽生えてきた「やりがい」

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障がいの度合いで親の考えが変わる

経験が増えて思うのは、親御さんへの対応の難しさですね。親御さんはざっくりいうと子どもたちと同様、素直な方が多い。しっかりやっていると、それは見ていてくれて信頼関係ができますが、こちらが手を抜くとガンガン詰めてくる。

難しいのは子どもの障がいの度合いによって、親御さんの意識が違うということです。障がいがはっきりしている子の親御さんほど学力の支援より、「生活の支援」を期待するんですね。それが、障がいが軽度の子の親御さんになると、「学力の支援」を求めてくる。学力を何とかつけてもらって、ゆくゆくは普通の生活ができるようにという希望を持っているんです。

それぞれの事情があるので、それらの個別の要求は問題ないんです。ただ、その微妙な違いを理解していない先生が対応してしまうと、親御さんから不信を買ってしまうことになります。

特別支援学級には経験のある先生だけではなく、新任の先生や再任用という形で入る年配の人もいて、そういう人は、伝え方が上手ではなくてトラブルになるケースもあります。例えば、できないことがあってパニックに陥ってしまった子がいたとして、その事実をそのまま伝えてしまうとか。

親御さんからしてみれば、できないことがあるのもパニックになるのも、許容範囲内なんです。それを先生たちがどう指導してくれたのかが聞きたい。そういう細かいところは気を使いますね。今では、当初から比べたらだいぶ余裕が出てきました。

それで、今考えているのは「特別支援学校」という選択肢です。一般の中学校にある特別支援学級ではなく、支援が必要な子だけが通う専門的な学校です。

というのは、一般校の中の特別支援学級ってつらいこともやっぱり多いんですよ。障がいを持っている子が、友達の輪の中に加わりたいけど加われないとか、それどころか嫌がらせを受けるっていうのはしょっちゅうで、間近で見ているとつらいし、今の私ではその場しのぎの指導しかできないんです。専門的な支援や指導の方法を学べば、嫌がらせを受けた障がいのある子だけでなく、周囲の子に対してもできることが増えるんじゃないかと思っています。

ですから、専門的に学んでからまた一般の中学校に戻ることを考えています。その場での専門的な指導法も役立つでしょうが、先を見据えて指導ができますから。中学校を出て高校に行ってその後どうするのか、そういうところを考えて指導していきたいです。

中学校の教員を目指した頃には今の環境はまったく想像できなかったですけど、想像していなかったやりがいがあります。何でもそうだと思うんですが、やっぱり経験が増えると、見えてくるものが変わってくるんですよね。もうここまで来たら、今の道を突き進もうと考えています。

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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