ヤマハ発動機社長が語る「2輪電動化」の高い壁 技術的に可能でも売れるかどうかは別問題

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――2輪車の電動化における難しさとは?

ヤマハ発動機のフラッグシップモデルの「YZF-R1」。スーパースポーツタイプではサーキットでの使用も想定されている(写真:ヤマハ発動機)

技術的にはできないわけではないが、コストや航続距離などの面で商品性がない。大型で100万円を超えるようなスポーツバイクは特に厳しい。

価格にして100万円から200万円程度上乗せすることになる。充電もこまめに必要になるし、航続距離を伸ばそうとバッテリーを増やせば車体が重くなりすぎる。

最初は原付といった日々の移動向けの2輪車から進めることになるだろう。スポーツタイプとは違って、100万円単位でコストが上がるわけではないので、補助金があれば普及する可能性はある。とはいえ、一民間企業のどうこうなるものではない。協調領域として自工会など業界団体を含めて働きかけていく。

――小池都知事は2035年に都内での内燃車(エンジンのみで走行する車)の販売を禁止すると掲げています。2輪車でこの目標達成は可能ですか。

地域別に規制をかけるというのは現実的ではなく、国全体での取り組みが必要だ。

日本全体で2035年までに販売するすべての2輪車を電動化させることは、技術的には可能。だが、売れるかどうかは、まったくの別問題だ。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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