ヤマハ発動機社長が語る「2輪電動化」の高い壁 技術的に可能でも売れるかどうかは別問題

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新興国でも生産体制のメンテナンスは常に必要だ。ASEAN地域でも半分程度の国はすでに市場が成熟している。一方で、インドやASEANの一部地域はまだ伸びる余地があり、これに合わせた体制構築が重要だ。

ひだか・ よしひろ)/1963年生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、1987年にヤマハ発動機入社。2010年にアメリカ子会社のバイスプレジデント、2017年財務本部長などを経て、2018年1月から現職(記者撮影)

2020年には台湾で2つあった組み立て工場を1つに集約した。これは台湾市場が成熟してきたことに加え、グローバルな輸出拠点がインドネシアなどに移ってきていることを受けた対応だ。

インドでも3つあった工場の内、設備が古く生産性が低かった2つを集約し、あわせて設備を更新した。今後もこうしたことは行っていく計画だ。

――販売面ではどんな手を打っていきますか。

先進国では、新しく入ってきた人たちにいかに楽しんでもらうか。2輪車に乗ることを楽しいと思ってもらえるイベントを開催するなど、「コト」を作っていくことが重要だ。新興国では、消費者とのデジタルの接点を作っていく必要がある。他社に後れを取ってしまっているのが現状だが、まずはインドで対応を進めている。

環境計画は見直すしかない

――ヨーロッパ各国で排出規制の議論が高まっており、日本でも菅首相が2050年のカーボンニュートラル目標を掲げました。自動車だけでなく、2輪車も電動化が避けられません。

電動化には2つの視点が必要だと思っている。1つが顧客のニーズ、もう1つは環境規制への対応だ。これまでは環境規制で先行していたヨーロッパを見ながら対応してきた。だが、小池(百合子)東京都知事やバイデン次期アメリカ大統領の政策からしても、この部分がヨーロッパ以外の地域も含めて、急速に強まっていくと感じている。

当社は2018年に「環境計画2050」を策定し、その中で2050年までに2010年比で二酸化炭素の排出を50%削減することを掲げた。しかし、世の中はもっと早く動き始めており、この計画は見直すしかない。社会が電動化に向かうというコンセンサスができてきている以上、当社としてもこれに対応していく必要がある。

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