こう聞けばこう答える 東芝“敗戦”の弁−−西田厚聰 東芝社長

-- 取締役会で最ももめた点は何か。

これは皆さん方にはお話しできません。こういうことを公表されている会社は1社もないと思います。いろいろな議論があるのは当たり前で議論を経たうえで最終決定をすることです。私のほうからはお話しできません。

-- 技術者など社員の処遇は今後どうなるのか。

青森工場のほか本社にもHDに従事してきた技術者はたくさんおります。そういう人たちは非常に高い技術力を持っているということで、今後展開する映像事業もありますし、他に希望があればそういうところでと、東芝グループ全体の中で活用を適材適所で考えていくことになります。

-- 損害賠償請求など米国での訴訟リスクは。

米国は訴訟社会。つねに誰が誰を訴えても構わない社会だから、そういう意味ではリスクはある。クラスアクション(集団訴訟)も考えられますが、私どもはハードのみを販売してきた。ソフトは映画会社をはじめとするいろいろなソフト会社が作り上げた。この責任を東芝がすべて持って皆さん方に商品を提供したわけではありません。そういう意味での訴訟のリスクは、それはない。誰かが訴えてくるというリスクはつねにあるわけですが、それに対して十分に対抗できる。そういう意味での訴訟リスクは比較的に低いのではないかと考えております。

-- 東芝製のノートPCにBD再生機能を搭載する可能性は。

パソコンに搭載しているHDドライブは、現行のDVDドライブのスーパーマルチ機能を全部持っている。それにプラスしてHDが見られる機能がついている。HDのタイトルは国内200本、全世界では1000本ある。それをパソコンで利用しようというお客様もいるし、BDのタイトルを見たいというお客様もいるだろうということで、こちらのほうはすぐに販売中止ということにはしていません(注:HD DVD、BDの双方を再生できるマルチドライブ機発売へ含み)。

-- HD撤退による2008年3月期の業績面への影響は。

今後具体化してくるもので現時点では確定しておりません。HD以外にもNANDフラッシュメモリの価格動向や社会インフラ事業、パソコン事業の状況も十分考慮したうえで判断する必要があります。もうしばらく時間をかけて見極めたい。

-- 考えられる費用項目は。08年度に損失は引きずらない?

現時点であまり詳しいお話はできません。不確定な要素が非常に多い。在庫処理があるかもしれませんし、米国でクレームがあるかもしれません。いろいろなシナリオを作り上げて精査していく。08年度は大枠はそういうことなんだろうと思います。

-- デジタル家電事業全体の構想に変更はないのか。

HDの終息に伴って確かに(構想は)狂うがこれから生み出す技術や商品でビジョンを修正し、ネットワークを含めた新しいビジョンを示せるかはこれから。もう少し時間的余裕をいただきたい。

-- 映画配給会社から新たなソフトが出なくなるおそれは。

われわれで決めることができないので、どうしようもないことでございますけれども。もともとHDの規格もハリウッドのスタジオの皆さんが参加されて、ワーナーを中心とした人たちの意見を入れて作り上げた。BDを作り上げる際にこの人たちは入ってはいない。自分たちが決めた規格なのに方針変更したのは、理由がわからないところもあるんですけれども。彼らもビジネスをやっているので、ハードメーカーが保証するということはできない。

ただ、現行のHDは現行のDVDとの互換性が100%あります。現行のDVD用のソフトをHDにかけていただきますと、アップ・コンバート機能で、画質がハイビジョンにほぼ近いような形で、はるかにいい画質で見られます。それから当然のことですが、録再機はハイビジョンのものをハードディスクに記録して見ることができる機能も残っております。ソフトも200本ありますのでそういうタイトルを使っていただくことになる。あくまでも私たちの持っている商品の価値と、これからお客様に対するいろんなサービスを誠心誠意ご説明し対応を図って参ります。

(撮影:尾形文繁)

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