西武線は日本のアニメを育てた「影の功労者」だ アニメ界出身の鉄道写真家が語る「青春時代」

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手塚作品のアニメ化などを手がける「手塚プロダクション」は現在、西武新宿線の高田馬場に社屋を構えて、かつての手塚治虫の仕事場も当時のまま残っている。筆者が勤めたAプロダクションは、後に「シンエイ動画」と社名変更して田無駅近くに本社を構え、東映アニメーション、トムス・エンタテインメント(かつての東京ムービー)と並ぶ西武鉄道沿線の三大アニメーション会社に成長した。

現在はアニメ産業も多極化しているが、今も多くのアニメ関係者が西武沿線に在住している。大塚康生、宮崎駿、故・大工原章、故・森康二(やすじ)、故・木村圭市郎、故・高畑勲、故・手塚治虫、小田部羊一、故・奥山玲子、故・楠部大吉郎、故・白川大作、杉井ギサブロー、月岡貞夫、相磯嘉雄、才田俊次、故・近藤喜文、有原誠治、本多敏行、片渕須直らの面々が西武電車で仕事場を往来している(ここまで敬称略・順不同)。

絵コンテを手に見た「レッドアロー」

筆者はAプロダクションに勤務していたころの1968年から1970年にかけて、仕事の合間に蒸気機関車を追って東北、関東近郊に撮影に出かけていた。「ルパン三世」制作中に作画監督の大塚康生さんが蒸気機関車撮影の大先輩と知って驚いたものだ。

ちょうどその頃、1969年に西武秩父線が開業して、西武初の特急「レッドアロー」5000系が颯爽とデビューした。アニメのシナリオや絵コンテを手に走り回っていた大泉学園駅や保谷駅あたりで通過するレッドアローに憧れを持つようになり、開通したばかりの西武秩父線によく出かけるようになった。

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