難しい判断を迫られる中、状況を見たうえで発表すると告知する鉄道会社も現れた。関西の大手私鉄である近畿日本鉄道は11月20日、終夜運転について「本年は、新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、12月上旬頃お知らせします」と発表した。近鉄は寺社参詣などの観光輸送を重視している鉄道会社であり、その近鉄が判断をどうするか決めかねている状況にコロナ禍の厳しさを感じさせられた。
なお、同社は12月4日、終夜運転を実施しないと発表した。これで、年明け直後の伊勢神宮などへの移動は不可能になった。
ほかの関西圏大手私鉄4社(阪急・阪神・京阪・南海)も実施しない。阪急(接続する能勢電鉄含む)と阪神(接続する山陽電気鉄道含む)、また南海の南海線は終電を繰り下げるが、京阪と南海高野線(泉北高速鉄道)は行わない。一方、JR西日本も終夜運転は行わないものの、3時ごろまで臨時列車を運行する。
「中止もありうる」留保付きも
一方、大阪メトロは11月27日、各線30分間隔(ニュートラムは20分間隔)で終夜運転を行うと発表した。ただし、「緊急事態宣言の発令等により外出自粛要請があった際は、おおみそかの終夜運転を取りやめる場合がありますので、あらかじめご了承ください」との留保付きだ。
状況によって中止もありうるとする鉄道会社はほかにもあり、東京メトロも「今後の新型コロナウイルスの感染拡大状況により終夜運転を中止する場合がございます」と告知している。
このほか、太宰府天満宮への初詣利用者が多い西日本鉄道は、終夜運転は実施するものの、初詣客向け臨時列車の運転日を拡大して「分散参拝」を呼びかけている。
●終夜運転を実施:
JR東日本、東京メトロ、京成、大阪メトロ、西鉄
●終夜運転はせず臨時列車を運行:
小田急、JR西日本、阪急、阪神、南海(南海線)
●終夜運転は実施せず:
東武、西武、東急、相鉄、近鉄、南海(高野線)、京阪
2020年から2021年の年越しが新型コロナウイルス感染拡大の状況の中でどうなるのか、各事業者とも見当がつかないだろう。だからこそ、発表が遅れているところも出てくる。その中で、感染拡大状況によっては中止という留保付きで発表するところも現れた。
12月7日時点で、沿線に大きな寺社があるところで終夜運転を実施するかどうか決定していない主な鉄道会社は、関東だと京王電鉄・京急電鉄だ。未発表の鉄道は、状況の判断に頭を悩ませているということであろう。
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